週末に読みたいこの1冊
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「縄文語への道」筒井功著
「縄文語への道」筒井功著 縄文時代に日本列島で使われていた縄文語は、文字資料もないため今の時代に再現することなどできるはずがないと思われがちだ。 しかし、著者は過去に用いられた地名を手…
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「新装版 対談 ヤポネシアの海辺から」島尾ミホ、石牟礼道子著
「新装版 対談 ヤポネシアの海辺から」島尾ミホ、石牟礼道子著 作家・島尾敏雄の妻である島尾ミホと、水俣病患者の支援に奔走し「苦海浄土 わが水俣病」などを発表した石牟礼道子の対談集。ふたりともす…
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「ジジイの台所」沢野ひとし著
いくつになっても、自分で作った料理を食べたいと思う著者にとって、台所は活力の源。と同時に、包丁で指を切ったり油でやけどをする戦場でもあるから、常に整理整頓、明るく清潔を保ちたい、と考えている。その思…
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「きれいな言葉より素直な叫び」新井見枝香著
著者が師匠と慕う、直木賞作家・桜木紫乃氏に連れられて、ストリップ劇場「シアターU」を訪れたのはおよそ4年前。初めて見た舞台で、踊り子・相田樹音嬢にたまらなく魅せられる。そんなある日、樹音嬢の提案で、…
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「『普通』ってなんなのかな」 ジョリー・フレミング、リリック・ウィニック著 上杉隼人訳
5歳で自閉症と診断され、普通の学校に行けずにホームスクーリングで学んだジョリー。 高校卒業後、サウスカロライナ大学に進み、イギリスのオックスフォード大学の奨学金を得て大学院に進学。現在は気候…
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「東京彰義伝」吉森大祐著
時は明治15年。明治維新から時がたち、功績のあった者たちに報告書を提出するようにという政府からの指示に対して、勝海舟は江戸開城の交渉事はすべて自らが判断指示したことだという報告書を提出していた。 …
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「踏切の幽霊」高野和明著
時は1994年。東京・下北沢の踏切で幽霊の目撃証言や列車の停車騒ぎが相次いでいた。 女性誌の記者の松田は、編集長にネタを振られ、調べることに。すると1年前に身元不明の若い女性が殺されていたこ…
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「妖(あやかし)の絆」誉田哲也著
物語は、父親の借金のせいで母親を吉原に連れて行かれた子ども時代の欣治が、妹のたまと家にふたりだけで取り残されるところから始まる。 ひもじさに泣く妹のために近隣の畑の作物を盗むようになった欣治…
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「私のことだま漂流記」山田詠美著
デビュー作となる「ベッドタイムアイズ」を書いたとき、著者は黒人軍人マックとその息子と3人で暮らしていた。しかしその実情は、前の恋人を事故で亡くし、都心での遊びにも疲れた著者が、自由を満喫したいという…
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「教誨(きょうかい)」柚月裕子著
吉沢香純はある日、東京拘置所へ向かう。遠縁の死刑囚三原響子の身元引受人に指名されており、遺骨と遺品を受け取りに来たのだ。享年38。10年前、当時8歳の自分の娘と近所の女児を殺害した罪で死刑になった。…
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「黒石(ヘイシ) 新宿鮫Ⅻ」大沢在昌著
中国残留孤児2世、3世のメンバーを中心とした地下ネットワーク・金石(ジンシ)。ある日、新宿署生活安全課の鮫島は公安部の矢崎から、金石の8人からなる幹部組織・八石の一人、高川が保護を求めているとの相談…
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「百万本のバラ物語」加藤登紀子著
加藤登紀子の代表曲「百万本のバラ」には、数々の物語があった。本書は、縁あって「百万本のバラ」を歌うことになった著者自らが、この歌の歴史や背景を探りながら、国家に翻弄される人々の人生と、自らの過去との…
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「特殊清掃人」中山七里著
勤めていた事務機器メーカーが突然倒産してしまった秋廣香澄(あきひろかすみ)は、必死の転職活動の末に6社目でようやく五百旗頭亘(いおきべわたる)が代表を務める「エンドクリーナー」に採用された。 …
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「英雄」 真保裕一著
叔母ときょうだいと4人で暮らす植松英美のもとにある夜、2人の刑事が訪ねてきた。英美の“実の父親”が1年半前、足立区の河川敷で射殺されたという。父親は、山藤ホールディングス創業者の南郷英雄、享年87。…
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「歳時記 夢幻舞台24の旅(トリップ)」髙樹のぶ子著
接ぎ木について歌った正岡子規の句を起点に、強く根を張ったシークワーサーの台木に、甘いミカンの穂木を接ぐ植生技術の映像に興味をひかれた著者がふと思い出したのは、小学校の頃のやけに生々しい思い出だった。…
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「カルトの花嫁」 冠木結心著
始まりは、著者が高校生のときだった。突然、母親がとある宗教を信じ始め、数万円の数珠を購入するなど、まとまった金を使うようになったのだ。道場に通い、どっぷりとはまっていく様子は、子供の目から見ても明ら…
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「老害の人」内館牧子著
緊急事態宣言中の2020年に元気に85歳を迎えた戸山福太郎は、すごろくやカルタの製作販売会社「雀躍堂」の元社長。10年前に引退して娘婿の純市にその座を譲ったものの、その際1室だけ会社内に部屋を用意し…
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「薔薇色に染まる頃」吉永南央著
北関東の紅雲町でコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む杉浦草は、ある日、東京のアンティークショップ「海図」のオーナー金源から電話を受ける。それは数十年前、事情があって草が手放した帯留めが戻ってきたと…
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「オリンピックを殺す日」堂場瞬一著
東日スポーツに入社して以来、オリンピック取材を担当してきた菅谷建人は、コロナ禍で行われた東京オリンピックを最後に担当から外された。オリンピックのスペシャリストを自任していただけに、受け入れがたかった…
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「ゾンビ3.0」石川智健著
タイトルから、パニック小説と想像しがちだが、本書は生命科学を題材にしたホラー小説である。 新宿区戸山の予防感染研究所に休日出勤をしていた香月百合は、WHOのサイトの「原因不明の病気蔓延により…