週末に読みたいこの1冊
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「台湾漫遊鉄道のふたり」楊双子著、三浦裕子訳
「台湾漫遊鉄道のふたり」楊双子著、三浦裕子訳 昭和13年、5月。「青春記」がヒットした作家の青山千鶴子は、同名の映画が上映されたことを機に台湾への講演旅行に招かれた。大食漢の千鶴子は、現地の食…
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「文豪たちの関東大震災」児玉千尋編
「文豪たちの関東大震災」児玉千尋編 100年前の9月1日に起こった関東大震災。首都で起きた震災だったため、被災者の中には文豪たちも数多く含まれた。芥川龍之介は、その年の8月、鎌倉にいた。座敷か…
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「102歳の医師が教えてくれた満足な生と死」奥野修司著
「102歳の医師が教えてくれた満足な生と死」奥野修司著 今から50年前、高知県佐賀町にひとりの医師が赴任した。その名は、疋田善平。1921年に生まれた疋田は軍医の道に進み、終戦後は国立京都病院…
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「J」延江浩著
「J」延江浩著 IT企業を経営する母袋(もたい)晃平は、ある日友人に紹介され、ベストセラー作家で尼僧の「J」と食事をする。母袋は37歳、Jは85歳だった。別れ際、母袋は差し出されたJの小さな手…
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「絵師金蔵赤色浄土」藤原緋沙子著
「絵師金蔵赤色浄土」藤原緋沙子著 時は弘化1(1844)年。土佐国高知城下で暮らす絵師・金蔵は、ある日、狩野探幽の贋作を描いたとして町奉行にしょっ引かれる。 幼い頃から画才を発揮した金…
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「『選択的シングル』の時代」エルヤキム・キスレフ著、舩山むつみ訳
「『選択的シングル』の時代」エルヤキム・キスレフ著、舩山むつみ訳 多くの国で、人々を結婚に駆り立てる社会的・心理的なプレッシャーが存在するが、未婚人口は近年急速に増加している。 たとえ…
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「家事か地獄か」稲垣えみ子著
「家事か地獄か」稲垣えみ子著 50歳のとき、これといった仕事のあてもないまま大企業を辞めた著者。豪華マンションから収納ゼロ、狭小キッチンのワンルームに引っ越したものの、待ち受けるのは「ヒマはあ…
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「ゴリラ裁判の日」須藤古都離著
「ゴリラ裁判の日」須藤古都離著 物語は冒頭、ハミルトン郡の裁判所の法廷シーンから幕を開ける。原告はローズ・ナックルウォーカー、被告はクリフトン動物園。ローズは、夫・オマリが、敷地に落ちてきた4…
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「白鶴亮翅」多和田葉子著
「白鶴亮翅」多和田葉子著 物語の舞台はドイツ。当初、夫の留学でドイツ・フライブルクに来た美砂は、その後日本に帰国してしまった夫と別れて、翻訳業を営みながらひとりで首都ベルリンに住んでいる。 …
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「ブラッドシュガー」サッシャ・ロスチャイルド著、久野郁子訳
「ブラッドシュガー」サッシャ・ロスチャイルド著、久野郁子訳 ルビー・サイモンはマイアミで順調なキャリアを積んできた30歳の臨床心理士。地元放送局でカメラマンとして働くジェイソンと新婚生活を送り…
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「本売る日々」青山文平著
「本売る日々」青山文平著 時は江戸時代後期の文政5年。城下で本屋松月堂を営む平助は月に1度、在へ赴き名主の家や手習所、寺などに本を行商して回っている。ただし、平助が届けるのは、漢籍や仏書など、…
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「くもをさがす」西加奈子著
「くもをさがす」西加奈子著 カナダ・バンクーバーで暮らす著者は、あるとき足に大量の赤い斑点があることに気づく。ときは2021年、コロナ禍。運よく対面で医師に診てもらうと、クモに刺されたのだろう…
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「音楽と生命」坂本龍一、福岡伸一著
「音楽と生命」坂本龍一、福岡伸一著 今年3月に亡くなった音楽家の坂本龍一氏と、生物学者の福岡伸一氏の対談本。専門分野は違うものの、キャリアを重ねたからこそ見えてきた、ふたりに共通する問題意識に…
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「Row&Row」村山由佳著
「Row&Row」村山由佳著 大手広告代理店で働く43歳の涼子は、結婚して13年目。3歳年下の夫・孝之は美容院を営んでいる。一見、夫婦仲はよさげに見えるが、自宅兼店舗に涼子のくつろぎの場はなく…
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「文豪、社長になる」門井慶喜著
「文豪、社長になる」門井慶喜著 京都大学卒業後に時事新報記者としてキャリアをスタートした菊池寛は、流行作家となった後に、芥川龍之介や直木三十五らの協力を得て「文藝春秋」を発行する。本書は、作家…
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「俠」松下隆一著
「俠」松下隆一著 30年前、恩人の死をきっかけに賭博から足を洗った60歳の銀平は、江戸は本所でひっそりと蕎麦(そば)屋を営んでいた。ある年の春、銀平は吐血し自分がそう長くはないことを悟る。 …
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「北関東『移民』アンダーグラウンド」安田峰俊著
「北関東『移民』アンダーグラウンド」安田峰俊著 ベトナムから技能実習生として来日したものの職場からドロップアウトし、アンダーグラウンドな存在となった「ボドイ」と呼ばれる者たち。 もとも…
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「つげ義春流れ雲旅」つげ義春、大崎紀夫、北井一夫著
「つげ義春流れ雲旅」つげ義春、大崎紀夫、北井一夫著 岩手県にある夏油(げとう)温泉を訪れたつげと大崎らは、どう見ても山賊集落にしか見えないようなたたずまいの宿で、湯治に来ていた600人のおばあ…
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「真珠とダイヤモンド」(上・下)桐野夏生著
「真珠とダイヤモンド」(上・下)桐野夏生著 1986年、地元の高校を卒業した伊東水矢子は、萬三証券株式会社に入社した。中学時代に父親が病死したため、大学進学が難しかった水矢子は、給与の良い証券…
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「香港陥落」松浦寿輝著
「香港陥落」松浦寿輝著 時は1941年11月。香港にあるペニンシュラホテルに3人の男が集まった。日本人で日本語新聞の編集長・谷尾悠介、イギリス人でロイター通信の非正規社員・ブレント・リーランド…