がんと向き合い生きていく
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「連携手帳」はがん患者が安心して自宅で過ごすために役立つ
前回は病院に入院した時のスケジュールを示したクリニカルパスについてお話ししました。今回は「外来通院中」のがん患者を対象にしたクリニカルパスを取り上げます。 会社員のHさん(48歳・男性)は高…
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入院計画書「クリニカルパス」のメリットとデメリット
最近の短くなっている入院生活のスケジュールについてのお話です。 会社員のPさん(53歳・女性)は食道に早期がんが発見され、外科手術で食道の一部を切らずに内視鏡治療でがんを切除できるということ…
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体験したからこそわかる 患者が繰り返す「再発の不安」
私がまだ医学生で臨床実習に入った頃のことです。浅い知識で病名をひたすら頭の中に詰め込み、若くして悪性リンパ腫で亡くなった患者さんのことを勉強させていただいていたちょうどその時、私自身が高熱と全身のリ…
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3度のがんと闘いながら亡くなる直前まで前向きに生きた
鉄欠乏性貧血と低血圧があって通院中のMさん(48歳・主婦)が、急に痩せられた感じを受けました。こちらが尋ねる前に、診察室に入るとすぐにこんな話を切り出しました。 「夫(55歳・会社員)が急に亡…
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がんの転移があるのかないのか… 患者の不安は大きい
先日、知人のAさん(55歳・男性)から2回目の電話がありました。Aさんは肺がんと診断され、検査が続いていました。 「検査の結果、骨の転移はありませんでした。診察の時、先生がそれを真っ先に言って…
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AIは患者さんと一緒に悩むことができない
胃がんが見つかり、1カ月前にS病院で胃を3分の2切除する手術を受けた主婦のAさん(48歳)は、退院後の外来で担当医からこう告げられました。 「病理診断の結果、胃に接するリンパ節に転移がありまし…
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専門医であればこそ、せめて患者と一緒に悩んで考えてほしかった
G病院で大腸がんの手術を受けた会社員のSさん(45歳男性)は、両側の肺に転移があったため、その後も抗がん剤を併用したいくつかの治療法を2年間続けました。 手術の時からずっと経験豊富な外科のT…
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各都道府県が「受動喫煙をなくす」条例を制定してほしい
たばこを吸う人ではなく、その周りの人がたばこの煙を吸い込むことを「受動喫煙」といいます。国立がん研究センターの報告によると、日本国内ではたばこを吸わないのに受動喫煙の影響で年間1万5000人が亡くな…
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誰ともしゃべらなかった患者さんを満開の桜の木の下に連れていくと…
桜はすっかり散ってしまいましたが、この季節になると思い浮かぶ患者さんがいます。当時85歳で、79歳のときに肝臓がんの手術を受けたAさん(男性)です。 手術後、Aさんはずっとひとり暮らしを続け…
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替えがきかない命を紙切れ一枚で決めてしまっていいものだろうか…
元公務員のSさん(68歳)のお話を続けます。4年前、妻のKさん(66歳)に肺がんが見つかり、手術、化学療法、放射線治療を受けましたが、その2年後に脳梗塞を発症し、嚥下性肺炎を繰り返していました。 …
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もし「人工呼吸器はつけない」と希望する事前指示書があったとしたら…
元公務員のSさん(68歳・男性)は妻のKさん(66歳)と2人暮らしで、2人の子供(娘30歳、息子28歳)は仕事が忙しいのか、ほとんど家には帰ってきませんでした。 4年前、Kさんは咳と嗄声、嚥…
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がん治療後に胃ろうを作ったことで仕事で活躍できるように
先日、医師たちのある会合が開かれ、某老人病院に勤務する医師が、こんな挨拶をされました。 「私は老人病院で、毎月4、5人をみとります。ほとんどが老衰か嚥下性肺炎です。胃ろうは一切、作っていません…
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「あと1年の命」が2年ももった。もういいでしょう? 担当医の言葉に愕然
知り合いの眼科医(45歳)から、「婦人科がんで治療を続けている70歳の母親の悩みを聞いてほしい」との依頼がありました。後日、母親のAさんが眼科医の息子さんと一緒にセカンドオピニオンとしてお見えになり…
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がん患者は孤独だからこそ“先輩”として心のケアの役に立ちたい
前回に続き主婦のFさん(56歳)のお話です。 17歳で白血病となり、強力な化学療法で治癒したFさんは、それから20年後に乳がんになって手術、化学療法、ホルモン療法で克服。そして、さらにその1…
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3度目のがんが見つかった患者さんから届いた「3つのやりたいこと」
2度目の乳がんが見つかった主婦のFさん(56歳)から、こんなメールが届きました。 「手術無事に終わりました。ご心配いただき本当にありがとうございました。私ばかりなぜ?とつい考えてしまいますが、…
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「少ない資源の有効活用」が必要だと退院を勧められた
先日、高校時代の同級生であるY君と久しぶりに食事をする機会がありました。 Y君は進行肺がんで、骨に転移があり、緩和ケア病棟に入院して放射線治療を受けました。治療が一段落して退院したタイミング…
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費用対効果をもってして「命の値段」をつけることができるのか
ある病院でがん治療医たちが集まり、入院患者の報告カンファレンスを行った時に持ち上がった話です。 73歳の肺がん患者(男性)の治療に免疫チェックポイント阻害薬を使っていて、1カ月経ったところで…
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「最期まで治療したい」という患者の気持ちは人間として当然のこと
消化器がんを専門とするA医師の母親(79歳)は肺がんで、2年ほど闘病を続けていました。しかし、次第に厳しい状況になって入退院を繰り返し、今回は呼吸困難が起こって外科病棟に入院することになりました。 …
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治療を中断したのに「また再開を」と希望する患者もいる
Cさん(80歳男性)は、独身の息子さん(55歳)と2人で暮らしています。 2年前、Cさんは右上肺の肺がん手術を受けました。術後の経過は良好でしたが、その後の定期検診で両肺に1センチ程度の小さ…
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意識がなくなる直前まで俳句を作り続けた患者さんがいる
がんが再発した、あるいは、がんが治療に抵抗したことで「不治」だと判断された患者さんは医師からその状況を知らされた後、どう病気と闘うのでしょう? どう生きられるのでしょう? どう安寧な心で過ごせるので…