深夜に搬送された病院で「7万円の病室しか空いていない」と言われ…
「先生、お金はいくらかかってもいいですから……治してください!」
紹介されてきた患者の母親が、食い入るように私を見つめてこう口にしました。それを受け、私は「治療は一番良い方法を行っています。お金で治療法が変わることはありません」と答えました。
しばらくしてから、私は学生時代に悪性リンパ腫の疑いで入院した時、ベッドの脇で母が漏らした言葉が頭に浮かんできました。
「じぇね(銭)ならなんぼかかってもいいから、先生にお願いして治してもらう」
その時、私は黙っていましたが、心の中で「わが家にそんなに金があるわけでもないのに」と思ったのでした。
アメリカと違って、貧富の差があっても、日本ではお金に関係なく高度な医療を受けることができます。日本は国民皆保険制度で、高額療養費制度などもあります。そんな日本の医療制度の中で、お金に関して私が気になっているのは「個室料金(差額ベッド代)」です。差額ベッド代は全額自己負担なのです。