感染症別 正しいクスリの使い方
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【TDM】薬の効果の判定や副作用を避けるため採血が必要なケースも
医薬品の投与後に表れる薬効には個人差があり、同じ用量の薬物であっても血液中の薬物濃度は人によって異なることがわかっています。安全域や有効血中濃度域が狭い薬物では、これらの個人差が致命的な副作用をもた…
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【抗菌薬の長期投与】耐性菌だけでなく副作用や体内蓄積にも注意が必要
多くの感染症では、耐性菌発生の観点からも同じ抗菌薬を2週間以上継続することは避けられる場合が多いです。しかし、結核など一部の感染症では抗菌薬を長期間継続しなければ治癒しないことも知られています。この…
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【マダニ媒介新興感染症】世界各地で新たなウイルスが続々と発見されている
近年、マダニが媒介する新興ウイルス感染症が話題になっています。 「オズウイルス」は、2018年に愛媛県でマダニの一種タカサゴキララマダニから世界で初めて見つかりました。昨年は厚生労働省が、茨城…
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【アンチバイオグラム】感染症の治療に役立つ情報が分かる
前回、細菌の培養検査についてお話ししました。では、「アンチバイオグラム(Antibiogram:抗菌薬感受性率表)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ある施設において、一定期間に分離…
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【培養検査】病原体が特定されれば効果的な治療ができる
感染症では、原因となる細菌や真菌などの病原体を特定するために、「培養検査」を行う場合があります。患者から採取した試料(血液、尿、喀痰など)を培養し、病原体の増殖や特性を調べるのです。 培養検…
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【ギョウチュウ】多くで検査廃止も九州や沖縄はいまも保有率が高い
当連載の読者の多くは、小学生の頃に「ぎょう虫検査」をやった経験があるのではないでしょうか。朝、排便前に特殊なノリがついた青いセロハンを肛門に貼り付け、ギョウチュウ(蟯虫)が産んだ卵がないかを確認する…
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【サナダムシ】サケやマスの生食で感染 症状が軽く排便時に気づくことが多い
「日本海裂頭条虫」をご存じでしょうか。別名である「サナダムシ」という名称なら、聞いたことがある方も多いかもしれません。 サナダムシは、成虫の体長が最大で10メートル、体幅1.5センチにもなるヒ…
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【フィラリア症】日本では根絶したが全世界では1億人が感染
「フィラリア症」といえば犬の感染症で有名です。糸状虫(フィラリア)によって引き起こされる寄生虫の病気で、犬糸状虫は犬と蚊の体を行ったり来たりしながら増殖します。 感染した犬を蚊が吸血することで…
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【ステノトロフォモナス・マルトフィリア】“切り札”として使われる抗菌薬が効かない要注意の耐性菌
「ステノトロフォモナス・マルトフィリア」──。なんだか舌を噛みそうな名前ですが、こんな名前の細菌が存在します。「Steno(わずかな)tropho(栄養で生きる)monas(種族)の中で、malto(…
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【ESBL産生菌】ペニシリンなどの抗菌薬が効かない耐性菌が日本でも増加中
「耐性菌」というと、どのような菌を想像しますか? 有名どころでは「MRSA」でしょうか。最近は「PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)」や「BLNAR(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ…
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【はやり目】効果的な薬がないため自然回復を待つしかない
「流行性角結膜炎」は主にアデノウイルス(8、19、37型)による眼感染症です。このウイルスはとても感染力が強く、昔から俗に「はやり目」と呼ばれています。発症はどの季節でも起こりますが、夏に多い傾向があ…
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【誤嚥性肺炎】錠剤が飲みにくい場合でも自己判断で粉砕してはいけない
高齢者や脳血管障害後などは、嚥下機能が低下するケースが多いと前回お話ししました。 脳血管障害後には、咳反射が低下してしまうことが知られていて、その原因のひとつとして迷走神経知覚枝から咽頭や喉…
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【誤飲性肺炎】常在菌が原因に…予防には口腔内のケアが欠かせない
「誤嚥性肺炎」は嚥下機能の低下により口腔内容物を誤嚥することで発症します。じつは健常者でも睡眠中などに誤嚥しているのですが、口腔内の常在菌は病原性が低く菌量も少ないため、通常は肺炎などを起こしません。…
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【誤嚥性肺炎】死因6位に…独立してカウントされるようになった
気管の入り口にある「喉頭蓋」は、われわれが食物や唾などをのみ込むとき、反射的に気管に蓋をして、食物などを食道に導く役割をしています。ただ、ときには誤って食物や唾などが気管に入ってしまう場合があります…
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医薬品が感染症を引き起こしたり悪化させるケースもある
この連載で、「水虫に対してステロイド軟膏の塗布で悪化」や「吸入ステロイドによる口腔カンジダ」といった、ステロイド薬を使うと免疫力が低下し、感染症になる危険性が高まるケースを何度かお話ししました。 …
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【カンジダ・アウリス】日本から報告された新種の真菌…高死亡率の感染症の原因に
「カンジダ・アウリス(Candida auris)」は、2009年に日本から報告された新種の真菌(カビ)です。70歳の女性の耳だれから見つかったため、ラテン語で耳を意味するaurisと名付けられました…
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【つつが虫病】ダニの一種に刺されて… 刺し口、発熱、皮疹が主要三徴候
前回、日本紅斑熱と症状がよく似ている疾患として「つつが虫病」について少しだけ触れました。つつが虫病は、日本紅斑熱と同じくリケッチア(微生物)が原因となる感染症です。 ダニの一種であるツツガム…
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【日本紅斑熱】マダニに刺されて感染…近年は夏前から増加中
5月、6月と「日本紅斑熱」の報告が相次ぎました。日本紅斑熱リケッチア(微生物)を保有するマダニに刺されることで感染します。 刺されてから2~8日頃に頭痛、全身倦怠感、高熱などを伴って発症し、…
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【ニューモシスチス肺炎】かつて「カリニ肺炎」と呼ばれていたカビによる日和見感染症
「ニューモシスチス肺炎」という病名を聞いたことがあるでしょうか? 舌を噛みそうな名前ですよね。この病気は「Pneumocystis jirovecii」という真菌(カビ)によって引き起こされる肺炎なの…
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【真菌性眼内炎】目の中にカビが侵入して発症 カテーテル留置の合併症も
真菌(カビ)による感染症で、最近話題になったもののひとつが「真菌性眼内炎」です。カンジダやアスペルギルスなどの真菌が目の中に入り込んでしまうことで発症します。コンタクトレンズの装着や外科的な手術など…