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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【フィラリア症】日本では根絶したが全世界では1億人が感染

公開日: 更新日:

「フィラリア症」といえば犬の感染症で有名です。糸状虫(フィラリア)によって引き起こされる寄生虫の病気で、犬糸状虫は犬と蚊の体を行ったり来たりしながら増殖します。

 感染した犬を蚊が吸血することで、蚊の体内にフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が入ります。この蚊が別の犬を吸血するときに、刺された犬の体内にフィラリアの幼虫が入り込み、感染が成立するのです。

 0.3ミリほどの小さなミクロフィラリアは、半年後には18~30センチの成虫に成長し、心臓や血管などに寄生しながら、たくさんの幼虫を産みます。時には致死的な転帰をたどることもあるため、注意が必要な疾患です。現在は、定期的な予防薬の服用により予防することも可能ですから、とくに蚊の発生する季節には、愛犬には予防薬を服用させるとよいでしょう。

 あまり知られていませんが、人のフィラリア症も存在します。人に感染する糸状虫もやはり蚊によって媒介され、蚊に刺されることで人への感染が成立します。

 フィラリア症を発症すると、急性期には発熱や悪寒、筋肉痛を生じることが多く、慢性期にはリンパ管の流れが障害されて陰嚢が巨大に腫れるケース(陰嚢水腫)もあります。また、皮下組織が肥大して、外観が象の足のようになること(象皮症)も知られています。

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