【日本紅斑熱】マダニに刺されて感染…近年は夏前から増加中
5月、6月と「日本紅斑熱」の報告が相次ぎました。日本紅斑熱リケッチア(微生物)を保有するマダニに刺されることで感染します。
刺されてから2~8日頃に頭痛、全身倦怠感、高熱などを伴って発症し、高熱とほぼ同時に紅色の斑丘疹が手足など末梢部から生じます。つつが虫病と症状がよく似ているといわれますが、つつが虫病に比べ重症化しやすいともいわれ、死亡例も報告されています。
本来、日本紅斑熱は夏場に多く見られる疾患なのですが、温暖化の影響からか5月であっても報告数が増えています。国内における年間の報告数も2013年は175例、15年は215例だったのですが、17年は337例、20年には422例、22年は460例(暫定値)、今年は5月末時点の速報値で83例と増加傾向です。
治療には抗生物質が用いられます。ただ、一般的によく使われるペニシリン系やセフェム系といったβ-ラクタム系抗生物質は、リケッチアには無効であるため注意が必要です。つつが虫病をはじめとした他のリケッチアと同様、テトラサイクリン系抗生物質が有効で、第1選択薬として用いられます。また、つつが虫病とは異なりニューキノロン系抗菌薬も有効との報告もあります。
日本紅斑熱の予防にはダニの刺咬を防ぐことが非常に重要です。マダニにかまれないよう草むらややぶに入る際は、長袖や長ズボンを着用し、サンダルなどの肌を露出するようなものは履かないなど、肌の露出をできるだけ少なくすることが大切です。