【サナダムシ】サケやマスの生食で感染 症状が軽く排便時に気づくことが多い
「日本海裂頭条虫」をご存じでしょうか。別名である「サナダムシ」という名称なら、聞いたことがある方も多いかもしれません。
サナダムシは、成虫の体長が最大で10メートル、体幅1.5センチにもなるヒトの寄生虫です。サナダムシという名前の由来は、虫体が平たく幅の狭い紐「真田紐」に似ているからだそうです。真田紐は、通常の織物の4倍以上の糸を圧縮して平たく織られ、伸びにくく丈夫で、刀の下げ緒、鎧兜着用時の紐、帯締め・帯留め用の紐などに使われます。
サナダムシの幼虫は、サケやマスなどに寄生していて、これらの魚を生食することにより感染します。感染しても無症状の場合が多く、症状があっても腹部の不快感、下痢、腹痛を自覚する程度のケースがほとんどとされています。そのため、排便時に長い「きしめん様」の成虫体が肛門から出てくることで感染に気づくことが多いともいわれています。
サナダムシのような寄生虫感染では、白血球の一種である好酸球が増加するのですが、好酸球はアレルギー疾患の時にも上昇します。昨今、寄生虫疾患は減少していることから、血液検査での好酸球上昇はアレルギー疾患をまず疑われることになるでしょうが、好酸球は本来、寄生虫などを攻撃し体を守る役割を担っているのです。