菅首相こそ見るべき…「ザ・ケイブ」が描く“公助”の精神
狭く曲がりくねった洞窟の途中が冠水し、その先で孤立してしまった計13人のサッカーチームの少年とそのコーチ。こうした事故は過去にほとんど例がなく、救助活動は困難を極めた。18日間にわたる国際的な作戦の様子は連日世界中で報道され、やがて“奇跡”の名にふさわしい結末を迎える。直後から映画化の計画が持ち上がっていたが、あえてハリウッドではなく、バンコク出身のトム・ウォーラー監督らタイの国情をよく知る自国スタッフ中心で作り上げた。
「そのコンセプトは、まさに“共助”の大切さというべきものです。洞窟内の水をポンプで強制排出するため、じつは下流のコメ農家は壊滅的被害を受け入れたのですが、映画はそんな無名の協力者たちの姿も感動的に描いている。また、前述の中国人インストラクターや英国人ダイバーは本人が演じているなど、リアリズムにこだわる誠実さも感じます」(前田氏)
国の威信よりも国民の命を優先して奇跡を起こしたタイ。苦しむ国民よりも特定業界の利権を守り、自助任せを続ける菅総理が見習うべき点は多そうだ。