大量“辞退”は兵庫県職員だけじゃない…教員に続き「地方公務員」まで不人気になったワケ
地方公務員人気に陰りが…北海道庁職員合格者も4割辞退
兵庫県では、県職員試験に合格した者の約4割が採用を辞退したというニュースが地元の新聞やテレビで大きく報道された。世間では「斎藤元彦知事によるパワハラが原因だろう」という見方も多くあったが、実際には、北海道の道庁職員試験合格者も約4割が採用を辞退しており、別に兵庫県特有の現象ではないようだ。国家公務員試験や他の地方自治体の公務員試験に合格した者が、そちらを選んだケースも多いとみられる。
そもそも、2013年には約58万人いた地方公務員採用試験受験者が22年には約44万人に減少しているのだ。少子化で地方公務員試験を受験する年代が先細りになっていることも確かだ。
地元で安定した職業である地方公務員が敬遠されるようになったのは、安定より成長を重視する若者の未来志向の変化もあるようだ。最近の労働力不足で民間企業の初任給は上がっており公務員の賃金が相対的に安くなっているうえ、今後も地方自治体の財政難で賃金面での改善は期待できない。コスパ重視のZ世代は敬遠したくなるのかもしれない。
しかし、今までの公務員担当の業務でも民間委託やアウトソーシングが増えており、デジタル化やAI活用も進み始めている。今までのルーチン化したイメージのあった公務員の仕事も変わりつつある。
子育てのサポートや様々の生徒への学習支援の公的役割は増えており、少子高齢社会における地域福祉の役割は広がっている。地域振興という点でも新住民の移住促進や地元でのスタートアップ支援などが大きな柱になっている。注目すべきは、行政機関において企画などを担う重要なセクションの責任者に女性公務員が増えていていることだ。たとえば大きな地方都市でも、札幌市の元・企画調整局長、大阪市の前・政策企画室長、仙台市の現・町づくり政策局長などは、女性である。地方公務員が女性の活躍の場として広く認知度を上げれば、地方公務員の人気復活にもつながるであろう。
(木村誠/教育ジャーナリスト)
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