「基礎年金底上げ」は4年後に先送り…厚生年金積立金「流用」の誤解を広めた石破自民の大罪
「厚生年金の積立金が国民年金に『流用』される」──。当初、政府の年金法案に盛り込まれるはずだった「基礎年金の底上げ案」を巡り、こんな言説が飛び交っている。今夏に参院選を控える議員を中心に自民党内から上がった「反対論」が要因だ。
公的年金は20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する「基礎年金」(国民年金)と、会社員などが加入する「厚生年金」の2階建て。本来、物価上昇に伴い年金受給額も上がるはずが、現行制度では基礎年金も厚生年金も、受給額を物価上昇よりも抑える「マクロ経済スライド」という仕組みで調整されている。
財政状況の良い厚生年金では調整が2026年度に終了する一方、基礎年金では57年度まで調整が続く見通し。結果、基礎年金の受給額が現在より3割も目減りしてしまうため食い止めるための秘策が「底上げ案」だった。
年金法案が審議入りした20日の衆院本会議で石破首相は「底上げ案」について、「厚生年金の積立金を使うことに『流用』といった意見もあり、今回の法案に具体的な仕組みを規定しないこととした」と説明。4年後の財政検証の結果を踏まえて対応すると問題を先送りしたが、そもそも「流用」なのか疑問だ、との声が上がっている。