上智大は合格者の最大40%も…2021年から急増した「補欠合格」の現状
2025年入試の動向は、難関大にこだわる受験生が増加する半面、浪人回避の安全志向も強まり、二極化したといわれている。現実的には、将来設計を考えて高偏差値の難関大は受けざるを得ないが、コスパ・タイパを考えれば浪人は避けたいという受験生も多い。その結果、有名私大の併願校を増やす例も多くなったようだ。
こういう受験生が増えれば「合格しても入学を辞退」するケースは当然増加し、特に有名私大はその影響をあらかじめ見込んで、多めに合格者数を発表する。5年ほど前までは、入学者数が入学定員の120%程度は認められていたが、文部科学省は首都圏1極集中傾向を避けるため21年度から入学定員厳守路線に転じた。東京23区内の私立大学を対象に入学定員を超過した大学への助成金をカットするというのだ。日本大学のある学部はこの20%を超えたため、実際に私学助成金がカットされて大騒ぎになった。
■2021年に急増した「繰り上げ合格」は減少
補欠合格者数が多いことで知られる上智大学では入学定員を守るべく、合格者数を入学定員近くまで絞り込んだ。その半面、合格者が入学辞退をする分を見込んで、補欠合格者を大量に発表していた。多い時でその割合は全体で合格者の40%を超えることになり、当時話題になったものだ。
この補欠合格には、「正式合格発表時に当事者に補欠合格者として知らせる方法」と、「正式合格発表の後に追加合格者として知らせる方法」とがある。上智大学は前者であった。
23年度から私学助成不交付基準を、入学定員でなく収容定員超過率一本化に変更するなど基準が緩和するなどし、現在は補欠合格者や繰り上げ合格者の数は全体的に減りつつあるようだ。
慶應大も上智大と同じで補欠合格者として知らせる方法だが、親切にもある程度、繰り上げ合格の可能性がわかるランクをつけている。ランクが最上位で、過去の実績データから繰り上げ合格の可能性が高ければ、繰り上げ合格を十分あてにしてよい。
ただ大学によっては、本人が補欠合格者であるかどうか、発表されるまでわからないケースもある。このような場合は第1志望でない限りは、追加合格などあまりあてにしないで、受験作戦をすすめた方が良いだろう。