週末オススメ本ミシュラン
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「池上彰の世界の見方イギリスとEU 揺れる連合王国」池上彰著/小学館/2019年
本書を読むとブレグジット(イギリスのEU[欧州連合]離脱)の経緯がよくわかる。 政府が緊縮財政を実施し、生活保護を削減した。そのため生活保護受給者の一部が仕事に就くようになった。しかし、非熟…
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「MMT 現代貨幣理論とは何か」井上智洋著/講談社選書メチエ
現代貨幣理論(MMT)が、日本の経済学者を二分し、感情的な対立が続いている。本書は、そのMMTをマクロ経済学者の立場から、冷静に、客観的に、分かりやすく解説したものだ。 著者によると、MMT…
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「医者、用水路を拓く」中村哲著/石風社
「自衛隊の派遣は有害無益」もしくは「百害あって一利なし」と断言したのは、先ごろ亡くなった中村哲である。 2001年に衆議院のテロ対策特別委員会に参考人として招かれた中村はまた「現地の対日感情は…
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「空白の日本史」本郷和人著/扶桑社/880円+税
テレビで時々見かける東大教授だが、今年の御代替わりの際は元号が何かを予想する立場としてさまざまな場所からお声が掛かった。語り口が面白く、かつ知識量がハンパないことは分かっていたが、著書も同様に面白か…
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「結果を出すリーダーはどこが違うのか」竹中平蔵編著/幻冬舎/2019年
竹中平蔵氏のリーダー論は面白いし役に立つ。それは竹中氏が時代の危機を強く認識しているからだ。 <そして、今また日本にとって変革の時です。時代がリーダーを求めるのであり、現代がまさにその時期だと…
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「DIY葬儀ハンドブック」松本祐貴著/駒草出版
ティッシュや醤油といった日用品や食料品の値段はよく分かっている。ただ、葬儀となると、経験する機会が少ないので、相場がよく分からない。しかも動揺していることもあって、葬儀社に言われるままに葬儀を進めて…
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「トヨトミの逆襲」梶山三郎著/小学館
「愛知県豊臣市」に本社がある“トヨトミ自動車”は売上高が29兆円余で営業利益が2兆円を超す。その社長、豊臣統一が作中でこうつぶやく。 「あの総理とはどうもウマが合わない」 父親も祖父も政…
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「SNS変遷史『いいね!』でつながる社会のゆくえ」天野彬著/イースト新書/920円+税
「インターネット」や「SNS」という言葉に拒否反応を覚える方に読んでもらいたい本を見つけた。私は、インターネットを使い始めて今年で25年になり、ツイッターを使い始めて10年、フェイスブックは9年になっ…
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「ヒトは120歳まで生きられるのか生命科学の最前線」田原総一朗著/文春新書/2019年
田原総一朗氏は時代を先読みする鋭い勘を持っている。現在、85歳の田原氏は、ゲノム編集やAI(人工知能)について精力的に取材し、執筆している。 <二○一○年を過ぎたころ、遺伝子操作の技術に、突如…
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「僕らはSNSでモノを買う」飯髙悠太著ディスカヴァー・トゥエンティワン
ネット広告費がテレビ広告費を今年中に追い抜く見込みだ。学生がテレビを持たず、スマホばかり見ている現状を考えると、さもありなんという気がする。 ただ、長年親しんできたテレビCMと比べて、我々は…
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「オサヒト覚え書き 追跡篇」石川逸子著/一葉社
今年86歳の著者は、明治天皇の父の孝明天皇(オサヒト)の亡霊が追う形で「閔王妃殺害」や「琉球処分」の闇に光を当てる。 とりわけ、現在、鮮明にしなければならないのは1895年10月8日の閔王妃…
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「つけびの村 噂が5人を殺したのか?」高橋ユキ著/晶文社/1600円+税
2013年7月に山口県周南市の限界集落で発生した「山口連続殺人放火事件」に迫ったルポだ。40代の時に東京から地元へ戻ってきた男(犯行当時63歳)が近隣住民5人を殺害し、住宅に火を付けた事件である。本…
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「未来予測入門 元防衛省情報分析官が編み出した技法」上田篤盛著/講談社現代新書/2019年
近未来予測はインテリジェンスにおける重要な機能だ。上田篤盛氏は、陸上自衛隊の情報部隊での実務経験を生かしてインテリジェンス分析の優れた作品を上梓した。 <「インテリジェンスとはなにか?」をあら…
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「データで読み解く「生涯独身」社会」天野馨南子著/宝島社新書
日本社会が抱える最大の問題は、少子化だろう。国力の低下も、年金制度の崩壊も、少子化が最大の原因になっている。政府もそのことを分かっていて、幼児教育の無償化や働き方改革の推進など、子育て支援に躍起にな…
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「新聞記者・桐生悠々忖度ニッポンを『嗤う』」黒崎正己著/現代書館
「だから、言ったではないか、疾くに軍部の盲動を戒めなければ、その害の及ぶところ実に測り知るべからざるものがあると」 関東防空大演習を嗤って「信濃毎日新聞」を追われ、個人誌「他山の石」を発行して…
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「上級国民/下級国民」橘玲著/小学館新書/820円+税
膨大なデータを基に“不都合な真実”を明かす著者の橘氏はこれまでに「言ってはいけない 残酷すぎる真実」(新潮新書)や「もっと言ってはいけない」(同)などのベストセラーを発刊してきたが、今回も同様のテー…
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「怪しい戦国史」本郷和人著 産経新聞出版/2019年
実証性にこだわりすぎると歴史の本質を見失うことがある。19世紀のヨーロッパで史的イエスの探究という流行があった。イエス・キリストの行動や発言をできるだけ実証的かつ客観的にとらえようとする研究だ。その…
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「愛と欲望の三国志」箱崎みどり著/講談社現代新書
著者は、ニッポン放送の現役アナウンサーで、私は数年前、一緒に番組に出ていたことがある。「不思議な人だな」とそのとき感じていた。アナウンサーというのは多かれ少なかれ、「私を見て」というオーラを出してい…
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「愛国という名の亡国」安田浩一著/河出新書
自らもレイシストたちの罵声を浴びながら、ヘイトスピーチの最前線で取材を続けてきた著者のこの本は、現在の日本のいびつな姿を白日の下にさらけだす。著者が差別を憎むのは、その向こう側に、戦争と殺戮が見える…
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「今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由」ジャロン・ラニアー著、大沢章子訳 亜紀書房/1800円+税
バーチャルリアリティー研究の大家が書いた本だ。私はネットニュースの編集者という仕事をしているため、ネット上で発生したトラブルに関し、取材を受けることは多い。よく聞かれるのが「日本のウェブ空間は特殊か…