「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…
僕が新人だった1997年は現役時代に「牛若丸」といわれた遊撃の名手、先日亡くなった吉田義男監督だった。1年目に我慢して一軍に置いてくれたおかげで、2年目は打率.293とまずまずの成績を残すことができた。ただ、残念ながら、これからという時に辞任してしまった。
99年に「名将」の呼び声高い野村克也監督が阪神の監督に就任したことで、ますますそのことを痛感するのだった。
Bクラス常連のヤクルトを9年で4度の優勝、3度の日本一に導いた名将の就任に、関西は大いに沸いた。
キャンプ初日、野村監督に「(秘)」と書かれた通称「ノムラの考え」が配布された。自己啓発本のような内容だったが、「秘密」と書かれているのに、マスコミに流出して大問題になった。球団内で犯人捜しが始まり、「今岡、おまえか?」と疑われたが、キッパリ否定した。
野村ID野球で一躍データが注目されたが、一言でいえば、スコアブックの結果を統計にしたもの。僕の場合は、打つためというより、打たない時、つまりボール球になる変化球がきそうなカウントなどを頭に入れ、誘い球にひっかからないように活用した。