テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭
人生、一寸先は闇──。埼玉県八潮市の道路陥没に巻き込まれた74歳のトラックドライバーの不運を思うと、つくづくそう感じ、うなだれる。
信号が青に変わり、トラックは左折した。それを見計らったかのように道路が陥没したという。不運は重なる。地底から水が湧き出しアリ地獄にのみ込まれるようにトラックは沈んでいき、その上、第2の大規模陥没が起こった。
道路の管理者である大野元裕県知事は2月11日、ドライバー救出までに約3カ月かかる見通しだといった。「救出」という文字がむなしい。なぜ、トラックごと引き上げるのではなく、ドライバー救出を最優先にしなかったのか。道路に圧のかかる大型クレーン車ではなく、ヘリでの救出という手はなかったのか。日に日に陥没面積が大きくなる映像を見ながら、怒りとため息が交差した。
県は捜索の妨げになる下水の流量を減らすため、上流域の住民に排水量自粛を要請し、15日間にも及んだ。だが、このような災害時にテレビが必ずやってくる被害者家族の情報が、今回に限ってなかったのはなぜなのだろう。