週末オススメ本ミシュラン
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「平成精神史 天皇・災害・ナショナリズム」片山杜秀著/幻冬舎新書/2018年
いよいよ5月1日から新天皇が即位し、元号も令和に変わる。本書は、平成の時代を総括し、新たな時代への展望について考察した好著だ。 片山杜秀氏は、民主主義と天皇の存在に根源的な矛盾があると考える…
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「角さんとじゃじゃ馬」田中眞紀子著/KADOKAWA
平成の30年間をさまざまなメディアが総括するなか、すっぽりと抜け落ちていると思う視点がある。それは、自民党が旧田中派支配から旧福田派支配に変わったということだ。私の見立てでは、田中派の基本理念は平和…
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「ハッキリ言わせていただきます!」前川喜平・谷口真由美著/集英社
「いい学校」から「いい会社」へのレールに乗って、いわゆる一流銀行に入ったのに、1年でやめた人のことが忘れられない。彼は母親に1週間も泣かれたという。その後、司法試験を受けて弁護士になるのだが、封建的な…
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「終わった人」 内館牧子著/講談社文庫/900円+税
舘ひろし主演で映画化もされた同作の初登場は2015年とかなり前だが、文庫版が2018年に登場。このたび「老害」に関するコラムを東洋経済オンラインに書いた。掲載後、編集者から「今更ですが、これどうぞ。…
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「ビッグ・クエスチョン<人類の難問>に答えよう」スティーヴン・ホーキング著/青木薫訳 NHK出版/2019年
去年3月に亡くなったイギリスの宇宙物理学者スティーヴン・ホーキングのエッセー集だ。 ホーキング氏は本書を執筆した意図について、<基本粒子の集まりにすぎない私たち人間が、自分たち自身を支配する…
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「平成はなぜ失敗したのか」野口悠紀雄著/幻冬舎
30年にわたった平成が終わるのをきっかけに、経済面から平成を振り返る書籍が多数登場している。それらのなかで、平成という時代に日本経済が大転落したという認識は、ほぼ共通している。日本経済の対世界GDP…
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「最後の頭取」河谷禎昌著/ダイヤモンド社
いま、私は74歳である。この年から河谷は収監されて、1年7カ月服役した。現在84歳。北海道拓殖銀行という大手銀行のトップで収監されたのは河谷だけだったが、その告白を読んで、気の毒だなと思いつつも、や…
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「ドラマへの遺言」倉本聰・碓井広義著/新潮社/820円+税
「北の国から」「やすらぎの郷」などのドラマ脚本で知られる倉本聰氏に、「弟子」であるテレビ制作会社出身で現在は上智大学教授の碓井広義氏が話を聞き、戦後最大のメディアとなったテレビに関し、論を展開する。日…
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「官僚たちの冬」田中秀明著/小学館新書/2019年
元財務官僚で、民主党政権時代に、内閣府の行政刷新会議担当の参事官をつとめた経験のある田中秀明氏(明治大学公共政策大学院教授)による安倍政権下の政官関係に関する秀逸な分析だ。 第2次安倍政権が…
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「骨まで愛して粗屋五郎の築地物語」小泉武夫著/新潮社
著者の小泉武夫氏は、日本の発酵学の権威であると同時に美食家としても名高い。実は、私はニュースステーションのコメンテーターをしていたときに、「おいしく食べよう」というコーナーで著者とご一緒させていただ…
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「祖国が棄てた人びと」金孝淳著 石坂浩一監訳/明石書店
「月刊日本」の12月号で日本共産党委員長の志位和夫と対談した亀井静香(元自民党政調会長)がこう言っている。 「国家間で法的に決着していることでも、日本としてはどうにかしなければならないという気持…
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「『さみしさ』の研究」ビートたけし著/小学館/760円+税
「アクティブシニア」なんて言葉もあり、昨今は「老い」が礼賛される傾向もある。と思えば、いわゆる「孤独を楽しむ」的な本も売れている。一方、本書の著者・ビートたけし氏は、「老い」は誰にも訪れるものであり、…
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「情報戦争を生き抜く 武器としてのメディアリテラシー」津田大介著/朝日新書/2018年
なぜポスト真実というようなめちゃくちゃな主張が横行し、フェイクニュース(偽情報)が現実に影響を与えるようになっているのか? この難しい問題に津田大介氏は正面から取り組んでいる。 まず、ビジネ…
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「国家はいつも嘘をつく」植草一秀著/祥伝社
かつて、日本で最も信頼されたエコノミストだった筆者を、最近は、ほとんどメディアでみかけなくなった。しかし、本書を読むと、切れ味がまったく衰えていないことが分かる。それどころか、より鋭さを増している。…
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「ルワンダ中央銀行総裁日記」服部正也著/中公新書
中公新書には意外なロングセラーがある。石光真人編著「ある明治人の記録」や、この「ルワンダ中央銀行総裁日記」である。 東大法学部を出て日本銀行に勤めていた服部は、求められて独立まもないアフリカ…
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「残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?」中原淳+パーソル総合研究所/光文社新書/920円+税
「超・長時間労働」「残業麻痺」「(忙しさを演出する)フェイク残業」「残業インフルエンサー」といった刺激的な言葉が次々と登場する。昨今、日本人の生産性が世界的に低いことがニュースになることが多いが、それ…
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「ポストモダン・ニヒリズム」仲正昌樹著/作品社/2018年
難解な哲学や思想をわかりやすい言葉で説明できる人が、ほんものの知識人だ。その点で、現在の日本で仲正昌樹金沢大学教授の右に出る人はいないと思う。 これまでにカント、ヘーゲルなどのドイツ現代哲学…
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「『10%消費税』が日本経済を破壊する」藤井聡著/晶文社
本書の内容は、来年10月に迫った消費税率10%への引き上げを、徹底批判するものだ。 本書の前半は、消費税率引き上げが、どれだけ経済に悪影響を与えてきたのかを分析することに費やされる。14年に…
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「あかんやつら」春日太一著/文春文庫
「江戸城は誰が造ったか」と問われて、太田道灌と答えると正解とされる。「いや、大工と左官が造ったのだ」は笑い話とされるが、これをジョークとしてしまっては、カルロス・ゴーンの高額報酬を批判できなくなるだろ…
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「情報戦争を生き抜く武器としてのメディアリテラシー」津田大介著(朝日新聞出版/910円+税)
355ページもある新書なんて初めて見た……とまずはギョーテンする書であるが、とにかく、ここ何年かのネットにまつわるさまざまな事例をこれでもか、というぐらい繰り出してくる。もともと2009年に「Twi…