週末オススメ本ミシュラン
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日航123便墜落に自衛隊・米軍の影
群馬県上野村の御巣鷹の尾根に日航ジャンボ機が墜落してから32年。くしくも33回忌の今年、衝撃的な本が出た。著者は、自分もあの123便に乗っていたかもしれない元客室乗務員である。先輩や同僚の無念を背負…
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阪神ファンの良いのは数少ない優勝を鮮明に覚えていること
阪神タイガース創立80周年と唯一の日本一を決めた1985年から30年の節目で出版された85年の阪神を振り返る書籍である。発売から2年が経過した本ではあるが、まぁ、読むにあたっては30年前だろうが32…
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外務省機密費事件は本当に個人のサギ事件だったのか
2001年に発覚した外務省の元要人訪問支援室長による内閣官房報償費(いわゆる機密費)詐欺事件に関する優れたノンフィクションだ。 立件されたのは11億6000万円だが、これは氷山の一角に過ぎな…
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「正解」ではないがこれは政策論争の土台となる
ちょっとひねったタイトルだが、本書の内容は、著者の経済政策論だ。しかも、国民生活と密接にかかわる部分に限定されているので、関心を持たない人はいないだろう。 著者の特長は、きちんとデータや文献…
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女性から女性へ受け継がれた“バトン”
策士といわれた自民党の長老、松野頼三が、首相になる前の竹下登をこう評した。 「あの人は、いわば水みたいな人だろうね。だから、佐藤栄作という器のときには佐藤の色になり切り、田中角栄のときは田中に…
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老人になったらみんな痛いんだ
評者は最近、蜂窩織炎(いわゆる蜂の巣病)という免疫低下が原因で起きる感染症に罹り、両脚のふくらはぎが1・5倍くらいに腫れ、熱を持った。抗生剤の大量投与で腫れは引いたが、何とも形容しがたいだるさが残っ…
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だから国民は権力の理解者になってしまうのか
テレビやラジオのコメンテーターをしていて、この数年、権力批判がしにくくなったことは事実だ。番組構成の面でもそうだが、何より私を含めたリベラル派が、番組に呼ばれなくなっているのだ。ただ私は、リベラルへ…
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原発も東京五輪も腐敗の中心に電通がいる
広告業は資本主義の戦略産業といわれる。その日本でのガリバー企業・電通に、問題の首相夫人、安倍昭恵も勤めていた。もちろん彼女は過労自殺した高橋まつりのように限界まで働きはしなかっただろうが、電通は原発…
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ナショナリズムとサッカーを考える好著
ネット上に吹き荒れる「嫌韓」が始まったのは実は2002年のサッカーW杯日韓大会だった、という指摘から、「サッカーとナショナリズム」「サッカーと人種差別」といった点にフィールドワークを続けながら迫った…
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学生一人一人の実力が向上する仕組みがある
現在、日本でいちばん入試志願者が多いのは近畿大学だ。「近大マグロ」と呼ばれるマグロの養殖、漫画を2万冊も置いた第2図書館の建設など、マスコミで取り上げられることを計算したパフォーマンスの上手な大学だ…
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わが意を得たり 3人の若手論客が著名人をメッタ斬り
テレビから討論番組がどんどん減っている。「朝まで生テレビ!」は生き残っているものの、全国ネットの討論番組は消滅に近い状況だ。一つの問題を深く掘り下げ、多様な見方を紹介するというテレビが本来持つべき重…
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星条旗の星の一つは赤い丸になるだろう
いま、最もシャープな笑いを提供しているのは松元ヒロである。その持ちネタの一つが、自らが“日本国憲法”になる「憲法くん」だが、彼はいま、困っているのではないか。それは、安倍晋三が笑えない喜劇を連発して…
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読めば読むほど著者が嫌いになる不思議な良書
公用車、会議費、別荘通い、ファーストクラス・スイートルーム利用などで昨年大バッシングをくらった舛添要一前東京都知事の告白本だが、とにかく面白い。日本中に広がった舛添バッシングを「サーカス(見せ物・娯…
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なるほど。深く勉強するとノリが悪くなるのか
1978年生まれの哲学者による優れた勉強法の本だ。入門書の読み方についてなどハウツー本の要素もあるが、主に著者が訴えているのは「なぜ勉強しなくてはならないのか」という、そもそも論についてだ。著者は、…
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これはショートショートで読む人生訓だ
最初にタイトルを見たとき、この本は1億円を当てた人を何人も追いかけたドキュメンタリーだと思った。しかし、そうではなかった。宝くじに当たった人の話は、23あるテーマの冒頭を飾る一編に過ぎない。また、本…
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“財界鞍馬天狗”を思い出させた元グーグル日本法人社長の正論
「自衛隊の派兵はもちろんのこと、派遣も反対です。憲法改正に至っては論外です。第2次世界大戦で日本はあれだけの犠牲を払ったのですから、平和憲法は絶対に厳守すべきだ。そう自ら規定すれば、おのずから日本の役…
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厳しい現実の中で果てしない夢とどう向き合うか
雇用ジャーナリストによる書。世の中の「成功者」がいかに少ない存在で、成功につながるための「夢」というものが果てしなく遠いかを説く。基本的には、厳しい現実を突きつけられるものの、最終的には「なんとかす…
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欧米と価値観を共有できると信じたことがゴルバチョフの失敗だった
KGB(ソ連国家保安委員会)と、その後継機関のロシア保安省で、1979~92年まで英米課長をつとめたレム・クラシリニコフ(1927~2003年)の回想録だ。 日本ではほとんど知られていないソ…
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日本の自称ジャーナリストは耳が痛いか、痛さを感じる耳をなくしたか
「ジャッカルの日」や「オデッサ・ファイル」、そして「戦争の犬たち」(いずれも角川文庫)などを私は夢中になって読んだ。その興奮を私はいまも忘れない。その著者の、これは自伝である。なぜ、インサイダーではな…
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アメリカを夢見て日本を貶める愚
実に絶望的な本である。基本的には、富の集中と格差というか、むしろかつての「貴族と庶民」のような分類が世界中で生まれ、特にアメリカはその状況がすさまじいといった事情をシリコンバレー在住の著者が記した書…