週末オススメ本ミシュラン
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「はじめての経済思想史 アダム・スミスから現代まで」中村隆之著
18世紀から現代までの経済思想を概観した好著だ。特に新自由主義の「教祖」であるミルトン・フリードマンに対する評価が興味深い。中村隆之氏は、フリードマン思想の「薄っぺらさ」に注目し、こう指摘する。 …
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初歩的な「どっちもどっち」論への反発
4月23日付の本紙のこの欄で取り上げた「創価学会秘史」(講談社)の著者、高橋篤史が大鹿靖明編著の「ジャーナリズムの現場から」(講談社現代新書)で、現在のジャーナリズムを覆っている「池上彰」化を嘆いて…
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私も「不法占拠」の東大駒場寮に住んでいたのだ
写真専門学校を出たばかりの女性カメラマン・渡辺眸氏が、学生運動が活発だった時代の「東大闘争」を記録したもの。元東大全共闘代表である山本義隆氏の寄稿も収録されているが、渡辺氏は100本以上のフィルムを…
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だから「合理的制度」が破局をもたらしたのか
危機管理理論に関して日本で最も優れた専門家は菊澤研宗先生(慶応義塾大学商学部・大学院商学研究科教授)であると評者は考えている。本書は、取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論と行動経済学の学術…
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景気循環 2024年に日本経済は復活する!?
最近は景気循環論を唱えるエコノミストが、すっかり減ってしまった。そのなかで孤軍奮闘し、いまや日本の景気循環論の絶対的エースとなったのが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏だ。その嶋中氏が…
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なぜ赤報隊を名乗って「朝日」を襲撃しなければならなかったのか
1987年5月3日、赤報隊を名乗る者たちに殺された「朝日新聞」記者の小尻知博を悼んで、私はこう書いたことがある。 そもそも赤報隊とは相楽総三をリーダーとする草莽の討幕隊で、下級武士と農民の混…
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行き詰まった40代以降の会社員も読んでほしい
1960年生まれの編集家・フリーライターの実体験と、同氏の知り合いの自由業者のサバイバル術を描いたもの。登場する人物は320万部超のベストセラー「磯野家の謎」シリーズなどを手掛けた杉森昌武氏ら。筆者…
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結果的にロシアの国益に貢献するトランプの中東政策
日本の報道では北朝鮮情勢の激変の陰に隠れて目立たなくなっているが、国際政治に深刻な影響を与えるのは、中東情勢である。特に去年、トランプ米大統領が宣言した米国の在イスラエル大使館のテルアビブからエルサ…
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なるほど、貨幣発行益を使えばベーシックインカムを導入できる
ベーシックインカムとは、政府がすべての国民に一定額を無条件で支給する新しいタイプの社会保障だ。多くの経済学者がその有用性を指摘するとともに、フィンランドなどでは、すでに実証実験が始まっている。本書は…
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創価学会と特高警察の蜜月関係を突きつける一冊
創価学会は「反戦・平和の団体」であり、その伝統をもっているという“神話”をひっくり返す強烈な本である。著者は創価学会がひた隠す戦前・戦中の機関紙誌「新教」と「価値創造」を発掘し、特高警察と蜜月関係に…
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トランプのような男を操るプーチンの能力が浮き彫りに
2016年の米大統領選挙にロシア政府がトランプ当選に向けて干渉したのではないかというロシア疑惑は、現下米国における最大の政治問題だ。本書を読むと、トランプにはロシアとの関係で知られたくない事実がたく…
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管理職のネタ本としてもおすすめの一冊
いつも生臭い経済の本ばかり読んでいるので、ちょっとした気分転換のつもりで、本書を手にした。本書は、タイトルの通り、ことわざ辞典から消えてしまった約200のことわざに、著者が解説を加えたものだ。 …
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“詩人の心”を潜めた著者の的確な人物評
トルストイは「牢獄に入ったことのない者は実はその国を知りはしない」と言っているという。大道寺は1974年8月30日の三菱重工ビル爆破事件で死刑判決を受け、2017年5月24日に多発性骨髄腫のため、東…
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自分の尺度、常識で物事を考えてはいけない
ネットのニュースを編集する日々がこの12年ほど毎日続いているが、常に抱き続けているジレンマがある。それは「我々が出しているこの情報は、実は首都圏及び大阪市内でしか通用しない話なのでは……」という件で…
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北朝鮮問題 やはり日本も時には柔軟になり相手に接近することも必要
4月末に朝鮮半島の南北軍事境界線上にある板門店の韓国側施設「平和の家」で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領が首脳会談を行うことになる。 本書の著者である五味洋治氏は、金正恩氏の異母…
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人を裏切ることを知らない誠実なサラリーマンに読んで欲しい
人はどうしたら成功するのか。それを、過去に行われたさまざまな実証研究をきちんとレビューして、法則を導き出すというのが本書の狙いだ。 私自身もそうだったが、本書を読みながら、最初の3分の1くら…
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嘘とプロパガンダに彩られた“安倍一味”の異常さ
「安倍でもわかる保守思想入門」(KKベストセラーズ)の著者が小池百合子、橋下徹、竹中平蔵ら“安倍(晋三)組”の異常さをまとめて明らかにする。 「安倍政権を彩ってきたのは、嘘とプロパガンダである」…
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紙の話なのにネット業界にいる私が発奮
著者は1959年生まれ。1980年代から雑誌を作り始め、そこで展開されたドタバタ騒ぎ(ただし筆致がクールなため、内容はむちゃくちゃなのにオシャレに感じられる)を描くとともに、その時々の文化を紹介して…
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問題を解く力と数学の能力はまるで無関係だった
数式をまったく用いずに、数学の重要性と実用性について解いた名著だ。小室直樹氏は、数学のオペレーション能力(計算や作図などの操作)と数学の論理を理解することは、別の問題であると考え、こう述べる。 …
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「天声人語」の筆者・深代惇郎の魅力
三島由紀夫が自衛隊に決起を促して割腹自殺したとき、深代惇郎は「朝日新聞」の社説にこう書いた。 「彼の政治哲学には、天皇や貴族はあっても、民衆はいない。彼の暴力是認には、民主主義の理念とは到底あ…