「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政
今、演劇界は大きな怒りに震えている。
六本木にある俳優座劇場。新劇のいや全ての演劇の魂を守り、培ってきた先人たちが、東京大空襲で焼失した築地小劇場の精神を受け継ぐ、新劇のための劇場を自ら創りたいという理想を抱いて設立した。
最初は4階建て。1980年に9階建ての今の形になった。俳優たちが映画に出た出演料を出し合ったという。
しかし老朽化と経営不振により、先日ついに最終公演が行われて、「さよなら俳優座劇場」と皆が涙を流した。誰もがビルも壊され、更地になるのだと思っていた。
■誰にも知らされず吉本興業が劇場を再オープン
しかし、なんと吉本興業が居抜きで借り受け、コント専門劇場として再オープンするというのだ。
ここで間違えないでもらいたい。演劇人が怒っているのは、演劇よりお笑いを低く見て、演劇の殿堂を吉本がコント劇場にすることに対してではない。ていうか、私もストリップのコント上がりだ。コントを低く見てもらっては困る。貸小屋である俳優座劇場でお笑い公演をしたこともある。