週末に読みたいこの1冊
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「死神刑事」大倉崇裕著
「警視庁の方から来ました」といって、名刺を差し出す。そこには「警部補 儀藤堅忍」とだけあり、所属部署、連絡先など一切書かれていない。冤罪による無罪確定と同時に事件の再捜査を始め、「逃げ得は許さない」と…
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「NHK英雄たちの選択 江戸無血開城の深層」磯田道史、NHK「英雄たちの選択」制作班著
歴史にはいくつもの重要な岐路がある。そうした岐路を前に史上の英雄たちはなぜその選択をしたのか。それを選んだ動機、背景などと併せて歴史のifを探って評判のTV番組「英雄たちの選択」。本書は江戸無血開城…
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「動物たちの内なる生活」ペーター・ヴォールレーベン著、本田雅也訳
人の暮らしのそばに存在しながら、その内面世界については全く知られていない動物たち。彼らの心の中では、いったい何がおきているのか。本書は、森林管理官としてさまざまな動物たちと接してきた著者が、その興味…
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「骨を弔う」宇佐美まこと著
川の増水で崩れた堤防の土中から、人骨のようなものが露出して大騒ぎになったが、よく調べたら理科の教材として使われている骨格標本だった……。そんな地方紙の小さな記事を見た家具職人の本多豊は、数十年も昔の…
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「翼竜館の宝石商人」高野史緒著
1662年の晩夏、アムステルダムに奇妙な噂が流れた。市庁舎に飾られているレンブラントが描いた歴史画の中から、古代ローマの英雄、キウィリウスが飛び出して、夜な夜な回廊をさまよい歩くのだという。そんな折…
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「蜜蜂」マヤ・ルンデ著、池田真紀子訳
2098年の中国四川省。幼い息子を愛する母親のタオには、果樹園で人工授粉をする仕事を課されていた。そこは、環境破壊の影響で蜜蜂が姿を消した世界。蜜蜂に代わって奴隷のように働く労働者が、列をなして果樹…
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「落語―哲学」中村昇著
落語の「芝浜」はこんな話だ。酒にしくじり失敗続きの魚屋が、あるとき大金の入った財布を拾う。これで遊んで暮らせると喜ぶが、女房はそんな夫をいさめるために、財布を拾ったのは夢だったのだと話し、以後魚屋は…
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「破蕾」冲方丁著
南町奉行の内与力である岡田家に嫁いだお咲は、金子の工面ができない岡田家の一族のために、商家の娘たちに礼儀作法や三味線などを教えて家計の足しにする暮らしを送っていた。 そんなある日、叔父と夫に…
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「大ぼら吹きの城」矢野隆著
藤吉郎は、清洲城主・織田信長の小者頭で、身分は低いものの大きな野心を抱いていた。そんな藤吉郎が美しい娘に一目惚れする。娘は織田家弓衆の浅野又右衛門の養女・於禰。身分違いもなんのその、藤吉郎は「儂は天…
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「赤い風」梶よう子著
時は、徳川綱吉の治世。川越藩領内には、牛馬の飼料や堆肥を作るための草を採取する「まぐさば」と呼ばれる土地があった。周辺には、川越藩領や幕府直轄領、旗本の知行地、小さな領と呼ばれる区域が入り組み、境界…
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「沖縄オバァの小さな偽証」友井羊著
舞台は沖縄本島北部にある法テラス(日本司法支援センター)。金銭的に弁護士に依頼するのが困難だったり、過疎地域のため弁護士がいないといった、司法弱者のための駆け込み寺的な存在だ。 相談を受ける…
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「泥濘」黒川博行著
表向きは、建築工事や解体土木工事の仲介斡旋をする経営コンサルタント。しかし、その収入の半分以上が、建築現場にうろつくヤクザや企業舎弟を、ヤクザを使って抑えるサバキの仕事で賄う二宮は、関わるたびに酷い…
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「男娼」中塩智恵子著
前著「風俗嬢という生き方」で、風俗嬢とその業界について取材をしていくなかで、著者の興味は次第に男娼へと移っていったという。ここでいう「男娼」とは、性サービスに携わる男性および性自認は女性で生物学的に…
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「17×63 鷹代航は覚えている」水生大海著
鷹代航はごく平凡な17歳の高校2年生。密かに漫画家を目指しているが、目立ちたくないという消極的な性格。同居している63歳の祖父・章吾は運悪く勤めていた会社をリストラされ、就活しながらジム通いをしてい…
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「ASK トップタレントの『値段』」新堂冬樹著
主人公は、18歳でアイドル誌「ティーン・ブレイク」の「ミス・ティーン・ブレイク」に選ばれ、芸能界に華々しくデビューした優奈。「奇跡の9頭身女子高生」のキャッチフレーズですべてのメジャー誌の表紙を飾り…
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「ファーストラヴ」島本理生著
アナウンサー志望の聖山環菜は、都内キー局の2次面接を受けていた最中に具合が悪くなり、途中で辞退。その足で父親が講師を務める美術学校へ行き、包丁で父親を刺殺した。逮捕されたとき、「動機はそちらで見つけ…
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「大根の底ぢから!」林望著
四六時中「食べること」を思い、どこに行っても何を食べるか考え、食への好奇心を欠かさないという著者。 本書は、そんな著者が、食べ物に関して発揮される驚異的な記憶力と探求心をフルに生かし、飽くな…
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「ドラゴンスリーパー」長崎尚志著
久井重吾は、神奈川県警捜査1課の元警部補。その取り調べが、脳天に杭を打つような鋭さを持つことから「パイルドライバー(杭打ち機)」の異名を持つ。退職後は県警のアドバイザーを務めているが、かつての上司・…
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「宇喜多の楽土」木下昌輝著
手段を選ばない策略で備前の国の大名にのしあがった宇喜多直家は、毛利との戦いが正念場を迎えようとしていた大切な時期に全身から血膿を吹き出す奇病にかかり、床から起き上がれない毎日を送っていた。後継とされ…
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「闇に魅入られた科学者たち」NHK「フランケンシュタインの誘惑」制作班著
科学が生み出した恩恵を享受している現代社会。科学者たちは知的好奇心の赴くままに、さまざまな研究を続けてきた。ある者は国家プロジェクトの名のもとに暴走し、ある者は倫理観を置き去りにしたまま禁断の人体実…