「破蕾」冲方丁著

公開日: 更新日:

 南町奉行の内与力である岡田家に嫁いだお咲は、金子の工面ができない岡田家の一族のために、商家の娘たちに礼儀作法や三味線などを教えて家計の足しにする暮らしを送っていた。

 そんなある日、叔父と夫に代わって役人たちに弁当の差し入れをするように頼まれ、旗本の屋敷を訪れる。

 しかし、そこで待ち受けていたのは、夫の殺害を企てて牢にとらわれた高貴な血筋の女の身代わりになって、市中引き回しの刑を受けるという恐ろしい話。

 身代わりになることで岡田家が大金を得ることになると知り覚悟を決めたものの、そこで体験したのはお咲の理性を打ち砕くような屈辱と快楽の世界だった。(「咲乱れ引廻しの花道」)

「マルドゥック」シリーズなどのSF小説から「天地明察」などの歴史小説まで、幅広いジャンルで活躍する著者の初めての時代官能小説。「香華灯明、地獄の道連れ」「別式女、追腹始末」も収録。江戸の女が醸し出す、妖艶な色香を描いている。

 (講談社 1650円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動