週末に読みたいこの1冊
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「ナラの世界へ」ディーン・ニコルソン著 山名弓子訳
愛猫家にとっては憧れの物語である。本書は世の定説「猫との旅はムリ」を、ひょんなことから覆した日々をつづるノンフィクション。 2018年9月、変化のない日常を変えようと、自転車で世界に飛び出し…
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「白医」下村敦史著
善意で人を殺せば聖人ですか? 裁判所の証人席で水木多香子がそう発言するシーンから物語は始まる。彼女は主治医である神崎秀輝によって、夫が安楽死させられたことを訴えた。 神崎は、終末期を過ごす患…
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「母ちゃんのフラフープ」田村淳著
若い頃、看護師をしていた母ちゃんのがんが再発した。最初のがんから2年後のことで、僕ら家族はもう大丈夫じゃないか……と思った直後の再発だった。 母ちゃんは延命治療はしないと宣言。だけど人生を投…
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「レッドネック」相場英雄著
米系大手広告代理店オメガエージェントに転職した矢吹蛍子は、ある日突然、上司からバンクーバーへの出張を命じられる。そこでケビン坂田という人物に会い、あるプロジェクトへの協力を要請して確実に約束を取り交…
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「非弁護人」月村了衛著
6年前、同僚と上層部の裏切りに遭い、東京地検特捜部を追われ、弁護士の道までも絶たれた宗光彬。現在は、裏社会の住人から高額の報酬と引き換えに、不可能とも思える法律絡みの案件を解決する<非弁護人>をなり…
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「ヘーゼルの密書」上田早夕里著
物語は、1931年の上海から始まる。商社勤務の父親の影響を受けて幼い頃から上海と日本の両方で暮らしてきたスミは、その語学力を生かして語学教室の教師として働いていたのだが、満州事変の勃発から生じた日本…
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「犬と歩けばワンダフル」北尾トロ著
御年70歳の舟木孝美さんは現役のベテラン猟師。猟犬と一緒に山に入り、ひとりで獲物を狙うスタイルだが、とにかく猟犬へのこだわりと愛情がハンパない。多くの猟師にとって犬はサポート役だが、舟木さんは「猟犬…
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「168時間の奇跡」新堂冬樹著
主人公は、保護犬施設「ワン子の園」を運営している沢口涼也。ボランティアスタッフに支えられながら、理不尽に見捨てられた保護犬を世話し、大切に飼ってくれる里親を探す日々を送っている。かつての涼也は街金融…
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「曲亭の家」西條奈加著
江戸一番の売れっ子戯作者、曲亭馬琴の息子・宗伯に嫁いだお路。見合いのとき、真面目そうだと好感を持ったものの、嫁いで半月もせぬうちに家を飛び出してしまう。夫・宗伯は医者ながら体が弱くかんしゃく持ちで、…
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「丸い地球のどこかの曲がり角で」ローレン・グロフ著 光野多惠子訳
夫婦生活を夫と妻の別々の視点から描いた長編「運命と復讐」が、オバマ元大統領に絶賛されて一躍世界中の文壇から注目を浴びた著者による短編小説集。表題作は爬虫(はちゅう)類好きの父とそんな父から逃れて本屋…
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「クララとお日さま」カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳
主人公は「AF」(人工親友)として店頭販売されていたクララ。クララは旧型だがずばぬけた観察力と学習意欲を持ち、人の心を推論して理解する能力もあった。 店のショーウインドーから外の世界を観察し…
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「ごめんなさい、ずっと嘘をついてきました。」加藤就一著
東日本大震災から10年の今年、多くの人が新型コロナに気を取られているさなかに、日本政府は東京電力福島第1原発から排出されている汚染水を福島沖の太平洋へ放出すると発表した。コントロール下にあると日本の…
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「アメリカン・スパイ」ローレン・ウィルキンソン著 田畑あや子訳
時は1992年。主人公の元FBI捜査官マリー・ミッチェルと2人の息子が暮らす自宅に男が侵入。格闘の末、男を射殺するシーンで物語の幕はあける。 黒人女性のマリーは1980年代にFBIニューヨー…
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「迷走生活の方法」福岡伸一著
「動的平衡」の著書でお馴染みの著者が、目に見えないウイルスに翻弄される今の時代におすすめの生活方法として、「迷走生活」なるキーワードを提唱したエッセー集。 迷走生活とは、さまざまな出来事に右往…
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「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」桜木紫乃著
舞台は昭和50年の釧路。章介が住み込みでアルバイトを続ける場末のキャバレー・パラダイスに、師走のある日、3人の演者がやってきた。マジシャンのチャーリー片西、ド迫力な女装のシャンソン歌手、ソコ・シャネ…
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「宇宙考古学の冒険」サラ・パーカック著 熊谷玲美訳
人知れず地下に眠っている遺跡を発見・発掘する考古学の世界は、この数十年で格段の進化を遂げている。特にホットなのが、人工衛星から送られてくる画像データを分析して遺跡の発掘につなげる「宇宙考古学」の分野…
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「ハーバード大学のボブ・ディラン講義」リチャード・F・トーマス著 萩原健太監修 森本美樹訳
2001年9月11日に発売されたアルバム「ラヴ・アンド・セフト」の中に「ロンサム・デイ・ブルース」という曲がある。その一節、「俺は負かした奴らを救う、おい、はっきり言っておく(中略)」という歌詞の言…
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「レストラン『ドイツ亭』」アネッテ・ヘス著 森内薫訳
主人公は、レストラン「ドイツ亭」を営む両親と姉と弟と一緒にフランクフルトに暮らす24歳の女性・エーファ。普段は、損害賠償の話し合いなどの際に駆り出されるドイツ語とポーランド語の通訳として働いている。…
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「ルポ東尋坊」下地毅著
福井県坂井市にある東尋坊。2010年、この地で一人の男性が「NGO 月光仮面」を名乗って自殺防止活動を始めた。定期パトロールは水曜と土曜の週2回だが、東尋坊の近くにある2台の公衆電話ボックスに置いた…
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「アンダークラス」相場英雄著
警視庁継続捜査班の田川信一の元に、第一強行犯捜査係の梶山から人捜しの依頼が持ち込まれる。来日を支援したベトナム人女性の技能実習生アインが失踪してしまい、彼女が入管に摘発されれば面倒なことになるため、…