「レッドネック」相場英雄著

公開日: 更新日:

 米系大手広告代理店オメガエージェントに転職した矢吹蛍子は、ある日突然、上司からバンクーバーへの出張を命じられる。そこでケビン坂田という人物に会い、あるプロジェクトへの協力を要請して確実に約束を取り交わしてこいというのだ。ところが不可解なことに、上司はプロジェクトの概要やケビン坂田の詳細について、極秘プロジェクトであることを理由に何一つ教えてくれなかった。

 怪訝(けげん)に思いながらも矢吹はケビン坂田に会う。契約にこぎつけたものの、依頼をメールで行わずわざわざ出向いたことや、ケビンに支払われるギャラが60億円もの大金であることから、矢吹は自分が危ういプロジェクトに関わっているのではないかと思い始める。やっとの思いでケビンから聞き出せたのは、「レッドネック」という、このプロジェクトの名前だけだった……。

 誰もがスマートフォンを持ち歩き、SNSを利用する社会の中で膨大に蓄積されていく個人情報の行方について取り上げた問題作。都知事選挙が行われようとしている東京を舞台に、情報が金になり力となる現代社会のからくりが見えてくる。

(角川春樹事務所 1870円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末