新書あらかると
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「明仁天皇と平和主義」斉藤利彦著
今春、太平洋戦争の激戦地パラオ諸島ペリリュー島を訪問するなど、天皇と皇后は即位以来、一貫して戦争の惨禍と向き合い、追悼と慰霊の旅を重ねてきた。その姿は、戦争の記憶を絶対に忘れてはならないという信念を…
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「世を捨てれば楽になる」北杜夫著
2011年に亡くなった著者の傑作エッセーを編んだ作品集。 肺炎で入院生活を送ってもたばこがやめられず、何とか家にたばこを持ち込もうとする自分とそれを阻止しようとする妻との攻防。老化現象で自己…
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「沖縄の米軍基地 『県外移設』を考える」高橋哲哉著
沖縄の米軍基地の県外移設を主張する論考。 日本は琉球併合以降、辺野古新基地建設の強行にいたるまで、一貫して沖縄を自己利益のために利用してきたと批判。日米安保体制・自衛隊・憲法9条の3点セット…
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「人生に疲れたらスペイン巡礼」小野美由紀著
世界的ブームの「カミーノ・デ・サンティアゴ」の魅力を紹介する紀行ガイド。 「カミーノ」は、カトリックの3大聖地のひとつスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」を目指す最長800キロにも及…
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「ナショナリズムの現在」萱野稔人ほか著
5人の論客がいびつな形で高揚しつつある日本の「ナショナリズム」について論じ合った討論集。 左翼陣営は、ネトウヨ(ネット右翼)を「社会から疎外されているかわいそうな人が、国家や民族のような『大…
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「どん底営業部が常勝軍団になるまで」藤本篤志著
営業コンサルタントの著者が「300連勝」(300週連続目標達成)という驚異の数字を成し遂げたクライアントを実例に教授する営業改革の教科書。 その企業「生活協同組合コープさっぽろ」の宅配営業部…
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「戸籍のない日本人」秋山千佳著
国内に推定で数万人いるといわれる「無戸籍者」問題に迫るリポート。 無戸籍者が生まれる最大の要因は「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」というDNA鑑定などなかった時代の法律に…
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「里海資本論」井上恭介・NHK「里海」取材班著
「里海」とは、「人手が加わることによって、生物多様性と生産性が高くなった沿岸地域」のこと。瀬戸内海生まれのこの考え方は、海洋資源枯渇や汚染など海の問題の解決法として急速に海外にも広がりつつある。 …
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「本屋になりたい この島の本を売る」宇田智子著 高野文子絵
日本一広い新刊書店の書店員から、日本一狭い古本屋の店主となった著者がつづる仕事エッセー。沖縄の第一牧志公設市場の向かいにある店の前は、地元の人や観光客で人通りが絶えない。店内は3畳の広さしかないが、…
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「財政破綻に備える今なすべきこと」古川元久著
民主党政権で国家戦略担当大臣を務めた著者による警世の書。安倍政権が推進したアベノミクスによって、確かに日本経済は活況を取り戻しつつあるように見える。だが、アベノミクスで行われたジャブジャブの金融緩和…
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「旅の流儀」 玉村豊男著
国内外で多くの旅をしてきた著者が旅をテーマにつづったエッセー集。どんな旅行のときも、まずはパンクツ(パンツ+靴下)から始まるという旅支度の話から、若き日に習得したヒッチハイクの極意、言葉の通じない海…
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「安倍政権のメディア支配」鈴木哲夫著
政治とメディアとの関係を考察したテキスト。 3月、ニュース番組のコメンテーター・古賀茂明氏が官邸からの圧力で降板させられたと発言。怒った自民党は、自主規制を仕向けるためか、同番組の放映局を呼…
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「マーケティングの嘘」辻中俊樹 櫻井光行著
著者らは、消費者に対する定量調査によって市場のニーズを掴むという従来のマーケティング手法では、本当の消費者像は見えてこないと指摘。本書は、その定量調査の限界を検証しながら、代わりとして、調査対象者に…
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「空の上の格差社会」杉浦一機著
最近の旅客機のエコノミークラスの多くは、シートピッチ(前後の間隔)が1980年代よりも10センチ以上も狭くなり、立ち席シートの導入まで検討されている。一方でビジネスクラスのシートピッチは2メートルを…
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「江戸の食卓に学ぶ」車浮代著
和食のルーツである江戸料理の魅力を紹介する食ウンチク本。 江戸の水では昆布の出汁がうまく取れなかったため、鰹出汁の文化が育ったという。醤油も輸送コストがかかり高価で、庶民の味付けは「塩と味噌…
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「世阿弥の世界」増田正造著
能の完成者にして、その芸術理論が現代のさまざまな分野に影響を与えている世阿弥の作品と精神を読み解く能入門書。 世界に現存する最古の演劇である能は、600年以上にわたって演じ継がれてきた。鬼夜…
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「知性とは何か」佐藤優著
世界を脅かすイスラム教過激派も、各国で台頭するナショナリズムも、すべて反知性主義を反映したものだと著者は指摘する。反知性主義とは、「実証性と客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解…
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「芥川賞の謎を解く全選評完全読破」鵜飼哲夫著
文学賞の代名詞である芥川賞が誕生して80年。選考委員は常に文学としての新しさを追求し、時に激しい議論を戦わせてきた。本書は、全152回、1400以上の選評から、その選考の舞台裏や名作が生まれた背景に…
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「火山入門 日本誕生から破局噴火まで」島村英紀著
噴火のニュースが絶えない日本の国土には活火山だけで110余もあり、陸上にある世界の火山の7分の1が集中しているのだとか。一方で火山は日本の地形や気候をつくり、多くの恩恵を日本人にもたらしてきた。身近…
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「俺の日本史」小谷野敦著
歴史は偶然と必然のからみ合いであり、「なぜ」と問うのは無意味だと著者は説く。法則を見いだそうとするのではなく、ただ事実を追求すべしという氏が、自らの歴史観に立って、古代から幕末までを論じた日本史テキ…