「戸籍のない日本人」秋山千佳著
国内に推定で数万人いるといわれる「無戸籍者」問題に迫るリポート。
無戸籍者が生まれる最大の要因は「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」というDNA鑑定などなかった時代の法律による。夫の家庭内暴力やストーカー行為から逃げ出し、離婚が難航している女性が、新しいパートナーとの子を出産すると、自動的に前夫の子とされてしまうため、出生届が出せないのだ。
高校時代から、パスポート発給を求め、行政や国会議員に直談判を繰り返しながらはね返されているクミさん(仮名)や、無戸籍のまま出産して「無戸籍2世」を育てるゆきなさん(同)ら当事者の苦悩を紹介しながら、問題解決の道を考える。
(双葉社 850円+税)