松尾潔のメロウな木曜日
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故・名プロデューサー佐藤剛さん 最後のサプライズと、ときに苛烈すぎる人生について
今週の日曜日(25日)、先ごろ71歳で逝去した佐藤剛さんの告別式が営まれた。凄腕の音楽プロデューサーであり、すぐれた作家でもあった。 大腸がんとの闘いは、相互フォローしていたツイッターで知っ…
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恋リア「ラブ トランジット」がめっぽう面白い パートナー像のあり方の未来図を見る
先週木曜からAmazonプライム・ビデオ(アマプラ)で配信が始まった恋愛リアリティショー(恋リア)の新番組『ラブ トランジット(ラブトラ)』が、めっぽう面白い。アマプラの恋リアといえば『バチェラー・…
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東京・新大久保「イスラム横丁」のネパール料理店でよみがえった、ざらり。
コリアンタウンのイメージが強い東京・新大久保に「イスラム横丁」と呼ばれるエリアが存在するのをご存じだろうか。さほど広くはない。せいぜい半径50メートルの半円に収まるはずだ。駅前の大通り(大久保通り)…
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不毛な世代間闘争、「世代」という名のカメラでは解像度が低すぎる
世代と価値観の話をしよう。今さら聞けない時代のキーワードの話を。 ゲンダイ読者に「Z世代(ジェネレーションZ)」という言葉はどれほど浸透しているだろうか。ウィキペディアによれば、アメリカ合衆…
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今年の暫定No.1邦画は「渇水」主演の生田斗真はジャニーズの宝である。だが…
日本共産党の志位和夫委員長が「アベノミクスの株高で一番儲けたのは、ユニクロ柳井会長一家」とツイートしたのは2013年5月。そのきっかり10年後の先月、柳井家の次男・柳井康治氏が初プロデュースしたヴィ…
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ありがとう週刊朝日! 101年の歴史の最後の最後に、読者から執筆者へ
1月末の本コラムで「さらば週刊朝日! 最終号まで買ってやるからな」と宣言して、はや4ヶ月。その日がやってくる。来週の5月30日発売号をもって『週刊朝日』が休刊するのだ。紙文化、いよいよもって死ぬがよ…
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寡黙を日本の伝統として褒めそやすのは、もう止めにしませんか。
最初に告白しよう。この件で本連載の貴重なスペースを費やすことを、ぼくは不本意だと感じている。正直なところ、この件についてはもう何も言いたくない、書きたくない気持ちが強い。実際そんな選択肢もあるはずな…
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「量」が絶対的担保として表現者の「質」の評価となった時代への挽歌
今年の大型連休は、友人を訪ねて旅に出た家族と離れてひとり東京に残った。作曲、番組収録、執筆といった仕事があったからだが、スケジュールは散発的でさほどタイトでもなかった。 40代はこういうとき…
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野木亜紀子と松岡茉優 二つの弩級の才能が起こす化学反応
今週末4月29日(土)19時からWOWOWで放送されるライブ特番『東方神起 LIVE TOUR2023 ~CLASSYC~』にぼくは出演する。メンバーふたりとの鼎談はすでに収録を終えており、今回は3…
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「あなたに小説執筆をつよく勧めたのは藤田だから」小池真理子さんの言葉に胸が塞がりそうになる
作家の小池真理子さんのお招きを受けて、彼女が暮らす軽井沢を訪ねた。大切な目的があった。真理子さんの夫・藤田宜永さんのお骨との対面である。 藤田さんが肺腺がんで亡くなったのは、日本初の新型コロ…
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早稲田大学セクハラ事件のコメントに反響…あー地獄、もう傍観者になるのはやめよう
今週月曜(4月10日)、福岡RKBラジオの朝ワイド「田畑竜介グローアップ」で早稲田大学セクハラ事件の東京地裁判決について話したところ、たいへんな反響があった。番組の内容が掲載されたYahoo!ニュー…
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坂本龍一さんは政治に従属を強いられる芸術の「居場所」を案じていたのではないか
先の日曜(4月2日)の夜、長時間のテレビ収録を終えたぼくは、ゴスペラーズ黒沢薫邸に向かっていた。日付が変われば黒沢くんは52歳になる。おめでたい。気の合う仲間で集って祝おうじゃないか。奇しくも、昨秋…
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バブル期の狂騒と終焉は「新しめの昔話」ではない 現代と地続きの「終わりのない物語」だ
このひと自分に似てるかも。そんなキャラクターに出会えるのは小説を読む醍醐味のひとつ。思春期に読む太宰治作品とかね。昭和の高校には思いつめた表情で「『人間失格』はオレの話です!」と熱く語るヤツがクラス…
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音楽は「生きる」と「夢を見る」の間にあるというのが、音楽を生業にしてきたぼくの実感
今週の日曜(3月19日)、故郷の福岡市で音楽イベント「FUKUOKA MUSIC SUMMIT」が催された。そのトークセッション「街と音楽の記憶」に、ぼくは同じく福岡出身である俳優の光石研さん、松重…
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「安倍晋三とジャニー喜多川」政治と芸能を取り巻く状況は相似形をなしている
先週の本連載は結構な反響を呼んだらしい。前半でふれた少年隊・錦織一清さんの快著『少年タイムカプセル』ではなく、後半で言及した英BBCによる故ジャニー喜多川氏の性加害疑惑ドキュメンタリー『プレデター(…
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少年隊・錦織一清が自叙伝「少年タイムカプセル」で語ったことと語らなかったこと
12歳でジャニーズ事務所に入り、20歳になった1985年、「仮面舞踏会」でデビューした少年隊のニッキこと錦織一清。ジャニー喜多川、つかこうへい、このふたりの恩師の流れを汲む舞台演出家としてキャリアを…
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CHEMISTRY×Da-iCE「スパロウズ」異世代コラボ誕生と楽曲制作への想い
CHEMISTRY×Da-iCE「スパロウズ」の配信が昨日から始まった。来週3月8日(水)にはCDが発売される。今回はこの異世代コラボをプロデューサーであるぼくの立場からお話ししたい。 CH…
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中森明夫氏の新刊「TRY48」は父親殺しの書でもあり、昭和へのレクイエムである
先週の本連載で、新宿のバー「風花」で催された朗読会の模様を報告したところ、望外の反響をいただいた。出演者のひとりとして、たいへんありがたいことである。今週はその会を島田雅彦さんと共に数年ぶりに復活さ…
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生きるために政治は必要だが、生き心地を確かめるには文学が役に立つ
金融緩和策をとってきた日銀の黒田総裁の任期が4月8日に満了する。翌9日と23日は統一地方選挙。首相は国民負担増を想起させるワードの使用を控えることに余念がない。財務省と政権が防衛費の財源確保のために…
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久保田利伸さんとBunkamuraの夜…長年のファンほど真剣に在りし日の幻影を追ってしまう
大人の渋谷のシンボルとも言われた東急百貨店本店が、1月31日に閉店した。ぼくは1967年11月オープンの同店と「同級生」。数軒隣のビルに自社オフィスを構えていたこともあり、同店にはただならぬ愛着心を…