松尾潔のメロウな木曜日
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さらば週刊朝日! 最終号まで買ってやるからな…半世紀愛読したからこそ厭味も言わせて
この国で最長の歴史を誇る総合週刊誌『週刊朝日』が5月末に休刊する。ネットの大波の前についに力尽きたといえば話はそこで終わる。週刊誌ジャーナリズムの〈終わりのはじまり〉という見方もあろう。だが昨年の創…
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高橋幸宏さん逝去 われらが世代のヒーローだったことを痛感する
スタジオジブリ発行の小冊子『熱風』をご存じだろうか。その最新号(1月号)で、ぼくはジャーナリスト青木理の連載対談「日本人と戦後70年」に招かれた。ぼくより一学年上の青木さんは、対談が始まるや自分がポ…
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トップスター・荒木一郎は大きすぎる犠牲を払いながら「なりゆき」を謳歌した
ぼくが音楽プロデューサーだと知ると「すごいですね。お仕事を始めたきっかけは何ですか」と訊ねる人は多い。まだキャリアが浅いころは、その都度真に受けて自分の来歴を丁寧かつ詳細に答えていた。でもこの種の話…
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息子であることの定年を迎えた…父の他界と55歳の誕生日に思ったこと
年が明け、昨日1月4日、55歳になった。 55歳。昭和のサラリーマンとその家族にとっては、今なお特別な意味を持つ年齢ではないか。当時日本の多くの企業の定年は55歳だった。大げさにいうなら、5…
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映画「ホイットニー・ヒューストン」字幕監修から見えたオモテとウラの魅力
2012年に48歳の若さで非業の死を遂げた天才女性歌手の人生を巧みに描いて話題の映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』が、クリスマス・ウィークエン…
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「ほどよい不完全さ」をあえて残しておくのが作詞のむずかしさでもあり、おもしろみでもある
先月、作詞した天童よしみさんの50周年記念シングル「帰郷」について書いた。そのとき、同曲が第55回日本作詩大賞にノミネートされたことに触れたのをご記憶だろうか。まさに軽く〈触れた〉程度だったが、驚い…
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「警告」と縁深し 津田沼パルコの閉店と最初で最後となったラジオの公開生放送のこと
先週末の夜、ぼくは千葉県習志野市津田沼にいた。JR津田沼駅北口から伸びるペデストリアンデッキには溢れんばかりの人びと。「津田沼パルコ」の壁面を使ったプロジェクションマッピングの見物客である。梨泰院雑…
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「後ろめたさ」こそが文学 鬼才・林真理子の真骨頂とは
「日本の作家だと誰を読んでます?」 初対面の相手に趣味を問われて読書と答えた時の第2問として、最もポピュラーなもののひとつだろう。回答には、ある程度以上の著作数がある作家、さらに言えば現役作家…
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天童よしみさん「NHK紅白出場」に心から安堵、あのタイムレスな歌声の偉大さよ
大晦日の『第73回NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表された。賛否両論あれど、紅白はこの国有数の長寿テレビ番組である。現在もなお放送業界と芸能界で破格のステイタスを誇ることは周知の通りだ。「紅白」のよ…
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堺正章の圧倒的なカッコ良さと、二度とめぐり来ない時代へのあまやかな郷愁
音楽を入り口に芸能界と関わりを持つようになって30年以上経つ。たくさんのスターに会った。だがそんな思い込みがじつはおめでたい勘違いではと疑いはじめたのは、2年ほど前にテレビ番組で堺正章さんと共演して…
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「PLAN75」早川千絵監督の才能を激賞 そして「倍賞千恵子を見るための映画」と断言できる
倍賞千恵子が主演し、今年5月の「第75回カンヌ国際映画祭」でカメラドール特別表彰を受けた早川千絵監督の長編デビュー作「PLAN75」がロングランヒットしている。9月には「第95回米国アカデミー賞」国…
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人生でただひとり夢中になった「アイドル・早見優」には何があった?
「すいません事後報告で。早見優さんのYouTubeに出演したのですが、松尾さんの話を勝手にさせていただきました」 困惑を覚えるLINEがスージー鈴木さんから届いた。この1学年上の音楽評論家と出…
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伊集院光の「至言」リスナーの困惑を真っすぐ肯定、スマホの向こうに後光が見えた
ぼくは正真正銘のラジオ世代。マイクに向かってから30年ほどだが、リスナー歴となると半世紀近い。好んで聴くのは自分が関わる音楽系ではなく、トーク主体の番組。達者なおしゃべりを求めて、スマホアプリ「ra…
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学生時代のぼくはジュークレコードで「対話」していた。誰と? レコード棚と。
先月末、福岡の老舗レコード店「ジュークレコード(JUKE RECORDS)」創立者の松本康さんが永眠された。享年72。1970~80年代の博多発のビート音楽、通称「めんたいロック」の主導者であり、ぼ…
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「裸のムラ」五百旗頭監督があぶり出す“家父長制”というこの国の宿痾
岸田首相が長男を首相秘書官に起用した。この国に根付く「家」を痛感させる出来事である。 「官邸内の人事活性化と岸田事務所との連携強化」が目的というが、うのみにする有権者ばかりでないことは首相も重…
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「愛の告白をする時に原稿を読む人はいません」と石破さん たまらないではないか
政治と言葉の理想的な関係をさぐるのはむずかしい。ふたりの代議士に会ってしみじみ思った。 国葬前日の9月26日の夕方、新宿西口で行われた国葬反対デモ集会にぼくは足を運んだ。スピーカーのひとりに…
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気鋭の社会学者・周東美材さんと語り合った この国の「未熟さ」が示すもの
出版不況が叫ばれて久しいが、新刊の著者のトークイベントを毎日催して盛況の書店が、東京の下北沢にある。店名を「本屋B&B」という。一風変わったその名は本(Books)とビール(Beer)に由来する。実…
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dj honda本人に訊いてみた いつも何かに怒っていた若き日を今どう思うか
入場曲にラップ曲を使うほどのヒップホップ好きで知られたイチロー選手。大リーガーになる前の彼が「h」のロゴ入り野球帽をよくかぶっていたのを覚えているだろうか。「h」は日本を代表するヒップホップDJであ…
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香川照之氏の生謝罪で「不快」なるワードに感じた危うさ 性加害への認識が古いのではないか
4月から毎週月曜朝に福岡のRKBラジオに生出演、音楽や時事ネタについて自由におしゃべりさせてもらっている。今週の放送で一連の「香川照之騒動」について話したら、過去最多の反応があった。ここではさらに煮…
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怒りはつねにそばにある 何に?社会や政治や日常の理不尽すべてに
ラブソングを作ったり、主に音楽について文章を書いたりしている。ありがたいことにヒットや賞には恵まれてきた。テレビやラジオに出ることもある。自分の名前を冠したNHK-FMの番組は、かれこれ13年目だ。…