木曜日は夜ふかし本
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「龍ノ眼」麻宮好著
「龍ノ眼」麻宮好著 隠密同心の長澤多門は、まるで翡翠のような美しい砥石の出どころを探るため小日向藩石場村へ赴いた。御公儀直轄の砥窪で採掘され闇取引されているのではないか、と奉行所が懸念したため…
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「タブー・トラック」羽田圭介著
「タブー・トラック」羽田圭介著 俳優の橘響梧が、ノンアルコールビールのCM撮影をしているシーンから物語は始まる。どこからも批判を受けない表現を求められるなか、仕事終わりに彼がこっそり立ち寄るの…
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「マザー」乃南アサ著
「マザー」乃南アサ著 結婚して婿養子に入った岬樹は、4年ぶりに故郷に降り立った。新型コロナの間に立て続けに祖父母と父が亡くなり、1人になってしまった母を心配し訪ねることにしたのだ。実家に向かい…
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「遺言」森永卓郎、岸博幸著
「遺言」森永卓郎、岸博幸著 共に霞が関での宮仕えを経て経済評論家や学者として活躍、さらに60歳を過ぎてがんを患い余命宣告を受けた2人が、「財務省」「防衛政策」「小泉構造改革」など8つのテーマで…
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「動物城2333」荷午、王小和著、阿部禾律下訳、島田荘司訳
「動物城2333」荷午、王小和著、阿部禾律下訳、島田荘司訳 時は、西暦2333年。動物が進化の末に人間から独立して作った動物王国の首都「動物城」に、人間側の代表である女性大使が和平交渉にやって…
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「癲狂院日乗」車谷長吉著
「癲狂院日乗」車谷長吉著 平成10年4月14日から翌11年4月13日までの1年間をつづった最後の私小説家の日記である。 著者は平成8年に「赤目四十八瀧心中未遂」を書きあげた。6年の歳月…
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「安全に狂う方法」赤坂真理著
「安全に狂う方法」赤坂真理著 酒やギャンブルなど一定の行為にハマる状態を一般に依存症と呼ぶ。症状さえ消えれば回復だと思われがちだが、その要因となった緊張感や不安などの生きにくさが解消されない限…
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「TUBE」ソン・ウォンピョン著、矢島暁子訳
「TUBE」ソン・ウォンピョン著、矢島暁子訳 ソウルに住む、平凡な中年男キム・ソンゴン・アンドレアは事業に失敗し、意を決して向かった漢江へ身投げするが、それも失敗。不本意にもこの世に押し戻され…
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「緋あざみ舞う」志川節子著
「緋あざみ舞う」志川節子著 向島の船宿「かりがね」を営むお路とお律は、評判の美人姉妹。表の商売が繁盛する一方で、彼女たちには江戸を騒がす「緋薊」という名の盗賊の裏の顔もあった。 盗みに…
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「鳥と港」佐原ひかり著
「鳥と港」佐原ひかり著 大学院卒の春指みなとは25歳。入社したものの、日報のまとめや意識改革に関わる上面の言葉をまとめ続ける業務に意味を見いだせず、9カ月で退職。1カ月後、みなとは立ち寄った公…
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「熊神」川村湊著
「熊神」川村湊著 熊と人との関わりを示唆する物語は世界各地に残っている。熊に襲われた貴婦人が熊の子を産むリトアニアの伝承や、熊女が人と交わって後に王となる子を産む朝鮮の話などがその例だ。日本で…
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「武器としての土着思考」青木真兵著
「武器としての土着思考」青木真兵著 人口1600人の奈良県東吉野村に移住し、私設図書館ルチャ・リブロを運営している著者。そのきっかけは都市生活において覚えた「危機感」だったという。資本の原理が…
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「笑う森」荻原浩著
「笑う森」荻原浩著 ある日、小樹海と呼ばれる「神森」のトレッキングコースに母親と来ていた5歳の男児・真人が行方不明になった。発達障害のある真人はひとつのことに集中しがちで、そのとき夢中になって…
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「テヘランのすてきな女」金井真紀著
「テヘランのすてきな女」金井真紀著 イランでは、女性はスカーフで髪を隠し、体のラインが分からないようチャドルを着る。街では風紀警察が目を光らせ、異性との握手が見つかれば99回のむち打ち。女性は…
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「ひとつの祖国」貫井徳郎著
「ひとつの祖国」貫井徳郎著 物語の舞台は、第2次世界大戦後にソ連と米国に分割統治された過去を持つ日本。経済力をつけた西日本と、経済的停滞に陥った東日本は、ドイツでベルリンの壁が崩壊したのを契機…
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「谷から来た女」桜木紫乃著
「谷から来た女」桜木紫乃著 主人公はアイヌの出自を持つ赤城ミワ。ミワに関わった人たちの語りを通し、彼女の生い立ちからデザイナーとして活躍する現在までを描いていく連作短編だ。 大学教授の…
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「DV8 台北プライベートアイ2」紀蔚然著、舩山むつみ訳
「DV8 台北プライベートアイ2」紀蔚然著、舩山むつみ訳 元劇作家にして大学教授という異色の経歴を持つ私立探偵・呉誠が活躍する「台北プライベートアイ」シリーズ第2弾。本作では、台北から郊外の淡…
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「われは熊楠」岩井圭也著
「われは熊楠」岩井圭也著 癇癪持ち、暴れん坊──。これが両替兼金物屋を営む南方家の次男、熊楠の幼い頃から続く評判だった。 慶応3年、和歌山に生まれた熊楠は4歳のとき、突然、己の内から声…
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「ルポ年金官僚」和田泰明著
「ルポ年金官僚」和田泰明著 1942年に労働者年金保険法として始まった日本の公的年金は、厚生年金保険法と改称された後、59年には自営業者を対象とする国民年金法も成立して、国民皆年金制度がスター…
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「グリフィスの傷」千早茜著
「グリフィスの傷」千早茜著 傷を題材にした10編の短編集。冒頭の「竜舌蘭」はさまざまな苦情に対応するデパートの受付係の“私”が主人公。 私は高校時代、同級生から無視をされるといういじめ…