がんと向き合い生きていく
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治療はしんどいが通常の急性骨髄性白血病なら約80%が寛解
「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです。三日間以上ご飯も食べれてない日が続いてます。でも負けたくない」 競泳女子の池江璃花子選手(18)が、自身のツイッターにこう書き込んだと報じら…
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緩和病棟に入院する患者は「経緯」も「思い」もそれぞれ違う
緩和ケアは、日常生活上支障となる身体的、精神的な苦痛を早期から軽減し、患者・家族の快適な療養を実現するために、がんと診断された時から切れ目なく提供されることが重要と考えられています。緩和病棟(ホスピ…
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「死ぬ覚悟」を迫ることが患者や家族を苦しめる場合がある
あるがん遺族の会報で、とても気になった投稿がありました。緩和病棟に入院したお母さまのことについて書かれたものです。 「苦しんで逝かせてしまいました。……(母は)死ぬことを恐いと言い、呼吸ができ…
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「ひとは生きてきたように死んでいく」──本当だろうか?
先月、若い優秀な同僚の医師が亡くなりました。39歳、急性白血病でした。若い人の死は壮絶で、そしてとりわけ悲しい……。 2カ月前に彼とやりとりしたメールが最後でした。 「さまざまな合併症…
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医療者にすべてお任せするのではなく「賢い患者」になろう
認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」という団体があります。COMLの活動の原点は「医療者と敵対するのではなく、患者自らの姿勢を見直し、病気を自分の問題と正面からとらえて主役…
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最期まで治療するという「自分らしい生き方」の選択肢はないのか
「抗がん剤は効かなくなりました。がんの治療は終わりです。もうこれまでのように頑張らなくていいのです。どうぞ自分らしく生きてください」 大腸がんで、肺に転移が見つかったFさん(47歳・女性)は、担当医か…
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かつて患者が自主的に集まって合唱する「歌の会」があった
古い話で恐縮ですが、われわれの病院での出来事です。 消化器内科のI医師は、かつて大学の研究室で犬を使った実験をしていた経験があります。「『採血だよ』って声をかけると、犬は前足を差し出す」と言…
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医師に不信感を抱いた患者が治療に納得するのは難しい
飲食業に従事するKさん(58歳・男性)は、特に症状はなかったのですが、健康診断で食道がんが見つかりました。病期はⅡ期と診断され、手術前化学療法を行った後、手術でがんと周囲のリンパ節を切除しました。 …
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「医師の思い」と「患者の思い」は対等ではない現実がある
肺がんの治療を行っている、農業を営むCさん(58歳・女性)との診察室での会話です。 「お元気そうですね。採血の結果も悪くないですよ」 「先生、私は先生の前では元気そうにしているけど、家に…
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かつて温熱療法の臨床試験を行ったところがん患者の生存期間は有意に長かったが
寒い日が続く中、温かいお話をしましょう。 がんは正常細胞よりも熱に弱い――。このことは昔から知られていました。がん細胞は42度以上、43度になると壊れていきます。 以前、私たちはこの…
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「標準治療」には患者の意志が尊重されているのだろうか
がんの治療は、新薬がどんどん開発されるなどで大きく進歩しました。また、15年ほど前からはガイドラインが普及し、標準治療として全国どこでも高いレベルの診療が受けられるようになりました。 ただ時…
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手紙を読んで死の恐怖を乗り越える術に一歩近づいた気がした
短い命を告げられた患者が、宗教なしでどうやって奈落から這い上がるのか? そのひとつの術として、女性作家のKさん(当時73歳)からいただいた手紙を紹介します。 ◇ ◇ ◇ 私自身、深…
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「夢」が死の恐怖を乗り越える術になる患者さんもいる
国文学者の川平ひとし氏(当時57歳)は、ある病院で消化管がんの手術を受け、肝転移で再発して「もう治療法はない」と宣告され、奈落に落とされました。それから私たちの病院に転院され、ご自身の体験をこう話し…
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死の恐怖を乗り越える術 頭で考えるのではなく“体に聞く”
「もう治療法はありません」「あと3カ月の命です」などと告げられ、私のところに相談に来られたたくさんの患者さんと接する中で、考えるようになりました。とてもつらい気持ちでおられる患者さんは“奈落”からどう…
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「死の恐怖を乗り越える術」多くの患者に出会い考えたこと
「もう治療法はありません」 「あと3カ月の命です」 担当医からそう告げられ、セカンドオピニオンを求めて私の外来へ相談に来られたがん患者がたくさんいます。 まだほかに治療法がある患者には入…
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無理な「在宅」で最期まで“自分らしい暮らし”ができるのか
がん対策の会議に出席するたび、終末期の「在宅」について本当に大丈夫だろうか? と、私はいつも心配しています。 病院では療養型病床は激減し、60日以内退院の在宅支援病棟ができています。老健施設…
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いくら時代が変わろうと「命が一番大事」なのは変わらない
脳が腫瘍で破壊され、長い間まったく意識のない主婦のMさん(60歳)のお見舞いに来た夫のFさんに、担当のR看護師はこんな話をされました。 「そう、うれしいですね。ほら、Mさんは喜んでおられます。…
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意識はなくても「生きている喜びがある」状態は存在する
主婦のMさん(60歳)は、定年を迎えた夫のFさんと娘さんの3人で暮らしていました。5年前の暑い夏に、目まいを感じたのが脳腫瘍との闘いの始まりでした。 がんは大脳の広い範囲に及んでいて、手術で…
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「安楽死」を希望する患者が診察して30分後には笑顔を…
スーパーでレジ係を担当しているMさん(58歳・女性)は、初診の方でした。診察室に入って私の顔を見るなり、「安楽死させて下さい。どうしたら楽に死ねるでしょうか?」と言われるのです。 とっさに私…
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恐怖のない安寧な死はある 104歳の女性患者に教えられた
私は約40年間、がん患者の診療に携わることができ、幸いにも多くの患者さんががんを克服されました。しかし一方で、残念ながらたくさんの方をみとってもきました。進行したがんで人生を中断され、「生きたい」の…