荒川隆之
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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【子供の夏風邪】プール熱の原因ウイルスは塩素で不活化するが…

公開日: 更新日:

「咽頭結膜熱」はアデノウイルスが引き起こす風邪のひとつです。プールでの接触などによって感染が広まるケースが多いため、日本では「プール熱」とも呼ばれています。例年、6月ごろから感染が増え始め、7~8月をピークに流行することから、前回お話ししたヘルパンギーナと同じく夏風邪として耳にされている方も多いでしょう。

 38度以上の高熱、頭痛、食欲不振、だるさといった症状と、咽頭炎による喉の痛み、結膜炎に伴う目の充血、目の痛み、目やになどの症状が出て、3~5日間ほど続きます。

 アデノウイルスに対する抗ウイルス薬は開発されていないのが現状です。そのため治療は、発熱に対する解熱剤、喉の痛みに対する鎮痛剤、目の乾きや炎症に対する目薬など、それぞれの症状を改善するための対症療法が主体です。

 私は学校薬剤師として、プール熱をはじめとした感染症が流行しないよう、担当校でプールの残留塩素濃度などについて指導を行っています。プール水の残留塩素濃度が0.4㎎/Lを超えると、アデノウイルスは速やかに不活化することが知られています。しかし、夏の暑さと直射日光の下では塩素は瞬く間に分解してしまいます。かといって、プールの塩素濃度が高すぎると皮膚を荒らすなどの悪影響が起こってしまうので、細かい濃度調整が必要なのです。

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