【細菌性食中毒】皮膚に常在する黄色ブドウ球菌は増殖の際に毒素を発生
食中毒は年間を通して発生しています。冬場はノロウイルスなどのウイルス性の食中毒の発生が多く、春や秋には自然毒による食中毒が多く発生します。
梅雨(5~6月)と夏(7~9月)は湿度や気温が高く細菌が増えやすいので、この時期には細菌性食中毒の発生件数が増加する傾向にあります。細菌性食中毒の原因菌としては、ウェルシュ菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなどが有名ですが、今回は「黄色ブドウ球菌」についてお話しします。
黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚に常在する細菌で、ケガをした時などに傷口から侵入して傷口を化膿させる働きがあります。
「皮膚に常在する」ということは「手指などにも多く存在する」ということです。そのため、“おにぎりの食中毒”は主に黄色ブドウ球菌によって引き起こされます。
おにぎりを素手で握った場合、皮膚に常在する黄色ブドウ球菌がおにぎりに付着し、保存温度によっては、その細菌がどんどん増殖してしまうのです。そして、増殖する時に発生するエンテロトキシンという毒素が、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、発熱といった食中毒症状を引き起こすのです。エンテロトキシンは通常の加熱調理では分解しないため、一度汚染された食品をレンジでチンしたとしても、やはり食中毒になってしまいます。