【クラミジア感染症】複合感染が多く一度の治療で済む抗菌薬の選択が重要
クラミジアは日本で最も感染者数の多い性感染症です。原因菌はクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)という病原体で、性行為によって女性の子宮頚管や男性の尿道などに感染し炎症を起こします。
近年は性行為の多様化により、性器以外にも咽頭粘膜(喉の粘膜)や直腸にも感染することが知られています。感染者は10代後半から20代に増加しており、70%が若い世代に集中しているともいわれています。
女性の場合、性行為から1~3週間後に発症し、下腹部痛、性交痛、排尿痛、おりものの増加や不正出血などが見られます。男性の場合も感染から1~3週間くらい後に、尿道から分泌物が出現したり排尿痛が見られます。しかし、男女ともまったく症状が出ない患者も多く、男性で5割、女性で7~8割が無症状ともいわれています。このため、気付かずにパートナーにうつしてしまったり、放置してしまうことで子宮内膜炎、卵管炎、腹膜炎などを起こし、子宮外妊娠や不妊症の原因となることが知られています。
性交渉を頻繁に行う、複数のパートナーと性交渉を行う、パートナーが代わったという場合、1年に1回程度クラミジアの検査を行うとよいでしょう。自治体によっては無料で検査を行うことも可能です。クラミジア感染症と診断されたときは、過去にさかのぼって60日以内に性交渉したパートナーにも検査を受けてもらってください。