真田広之「SHOGUN 将軍」エミー賞快挙の裏で…「日本語スピーチ」に込められた日本テレビ界への憂い
その後、イギリスのロイヤル・シェークスピア・カンパニー公演の舞台「リア王」に史上初、唯一の日本人出演者となって話題になり、トム・クルーズ主演の映画「ラスト サムライ」には渡辺謙と共に出演。それからはロサンゼルスに移住する格好でハリウッド作品に出続けている。
そして今回のエミー賞受賞。授賞式では許しを得て短い日本語スピーチが真田の口から出た。
「これまで時代劇を継承し、支えてきてくれたすべての方々、監督や諸先生方に御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えました」
これは感謝の気持ちと同時に、日本へ向けての強烈なメッセージだと思った。日本のテレビドラマで「時代劇」は今やまったくと言っていいほど制作されなくなった。というのも、現状のテレビでは「予算がかかりすぎて無理」という現実がある。今年、時代劇専門チャンネルが「鬼平犯科帳」のスペシャル版を制作して話題になったが、セットやロケ場所の確保は難しく、役者集めも苦労したそうだ。
真田の受賞は喜ばしいことだが、果たしてそれでいいのか。彼のスピーチは日本の現状を憂いているように聞こえた。