アルツハイマー型とレビー小体型どちらも発症するケースも
認知症のうち約7割と、最も大きな割合を占めるのがアルツハイマー型認知症です。次いで2番目に多いのが血管性認知症、3番目がレビー小体型認知症。疫学調査によっては、レビー小体型が血管性認知症を抜き去るほどの勢いです。これら3つは「3大認知症」と呼ばれています。
実はアルツハイマー型とレビー小体型は、どちらも患っている患者さんがかなりいます。それぞれの患者数を輪で示すと、大きなアルツハイマー型の輪に、レビー小体型の輪が重なり合います。レビー小体型の輪の4分の3ほどが、アルツハイマー型の輪に重なっているイメージでしょうか。
それもあって、最初はアルツハイマー型と診断されていたのに、途中でレビー小体型という診断名が加わる患者さん、もしくはその逆の患者さん(最初はレビー小体型、途中からアルツハイマー型)が少なからずいらっしゃいます。患者さんやご家族から「アルツハイマー型とレビー小体型は何か関係があるのですか?」と聞かれるケースも時々あります。
アルツハイマー型は、これまでもお話ししたように、アミロイドβというタンパク質が脳内に異常に凝集・蓄積することをきっかけに発症する病気です。アミロイドβの凝集・蓄積が、タウタンパク質の凝集・蓄積を招き、それによって神経細胞が変性し、認知機能の低下が起こります。
一方、レビー小体型は、α-シヌクレインというタンパク質が脳内に異常に凝集・蓄積し、レビー小体という塊を形成し沈着することで発症します。レビー小体が神経細胞を変性させてしまうのです。
電子顕微鏡で見ると、アルツハイマー型による神経細胞の変性と、レビー小体型のそれとは別物です。ただ、どちらも人間の脳の老化によって起こるので、重複しやすいのです。
つまり、アミロイドβやタウタンパク質の変化を持ちあわせている人は、α-シヌクレインの変化も持ちあわせていることがよくある。
いくつもの検査を行い詳しく調べれば見極められるかもしれませんが、そうでない場合、症状が強く出ている方に目がいってしまい、例えば「アルツハイマー型と診断されていたのに、途中からレビー小体型」となることも不思議ではありません。