肺がん治療に前進もたらす「遺伝子異常退治」って何だ?
選手、監督の両方で偉大な功績を残し、サッカー界のレジェンドといわれるヨハン・クライフ氏(68=オランダ)が肺がんを患っていることが先日報じられた。
国立がんセンターによれば、がんの予想死亡数は肺がんが1位。死亡数を減らすには、いかに早く発見し、的確な治療を行えるかがカギになる。注目を集めているのが、肺がんの遺伝子スクリーニングを行う「LC-SCRUM-Japan」だ。研究代表者である国立がん研究センター東病院呼吸器内科長・後藤功一医師に聞いた。
肺がんは、「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の2つの型に分かれ、前者であれば抗がん剤による治療が主体となり、後者で比較的早期なら手術、進行期であれば抗がん剤というように、組織の型、進行度に応じた治療が行われる。
しかし近年、「遺伝子の異常」を調べ、それをターゲットにした有効性の高い治療薬を選択できるようになってきた。
非小細胞肺がんは、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分けられ、一番頻度が高い腺がんの半数以上に「EFGR遺伝子」の異常が見られることが明らかになっている。ガイドラインでは、遺伝子検査でEFGR遺伝子変異があれば、効果を発揮することが確認されている3つの分子標的薬の中から治療薬を選択することが推奨されている。