都立8病院の収支決算 28億超の補助金でも「広尾」は赤字
都立病院グループは「広尾」(渋谷区)、「大塚」(豊島区)、「駒込」(文京区)、「墨東」(墨田区)、「多摩総合医療センター」(府中市)、「神経」(同)、「小児総合医療センター」(同)、「松沢」(世田谷)の8病院で構成されています。
「多摩総合医療センター」は、以前は府中病院と呼ばれていました。府中市武蔵台にあり、同じ建物の一角が「小児総合医療センター」、敷地内に「神経病院」も立っています。さらに東に隣接して、重度心身障害児の入所施設である「都立府中療育センター」があり、北隣には精神科病院の草分けである「根岸病院」(民間病院)があるなど、文字通りの病院街。「松沢病院」は世田谷区上北沢に位置する精神科病院です。
各病院の2015年度における収支は〈表〉のようになっています。広尾、大塚、駒込が赤字、墨東、多摩総合、小児総合、松沢が黒字、神経が収支トントンでした。
赤字幅がもっとも大きい広尾は、グループのなかでER(3次救急)、災害医療、島しょ医療(伊豆・小笠原諸島からの患者の受け入れ)を担当しています。実際、救急患者は1日平均60人以上、CCU(冠疾患集中治療室、主に急性心筋梗塞患者などが入院する)の受け入れが1日5人近くあります。また、島しょからの入院患者は年間1100人、遠隔画像診断が年間1000件以上。しかし、それらの医療は採算性が悪く、しかも病床利用率が66%と、グループ最下位です。都や国から合わせて28億円以上の負担金・補助金が注入されていますが、それでも17億円もの赤字に終わってしまいました。