貫禄勝ちも五輪5連覇に暗雲 伊調馨と周囲の変わらぬ温度差
危なげなく復帰を飾った。
女子レスリングのパワハラ騒動で揺れた五輪4連覇の伊調馨(34)が14日、全日本女子オープン選手権(静岡・三島市)で2年2カ月ぶりに実戦復帰。57キロ級決勝で社会人選手を相手にえび固めを決めてフォール勝ち。3試合とも格の違いを見せつけ、五輪女王の貫禄を示した。
全盛期よりも明らかにスリムになり、筋力も落ちていた。試合後の伊調は「肉体的にも、精神的にも鍛え直さないと、世界を相手にするのは厳しい」としながらも、「反省と課題が明確になった大会だった」と明るい表情で振り返った。
今大会で2位以内を確保し、日本代表選考会を兼ねた12月の天皇杯全日本選手権への出場権を得た。日本協会からは、過去の実績を評価され、11月の全日本合宿に特別枠で招集された。パワハラ騒動で練習もままならなかった金メダリストへの日本協会による配慮だが、伊調は依然として協会の対応には不満のようだ。
東京五輪への出場について聞かれると「(練習)環境が整わなければ、東京で5連覇を目指すとは言えない。肉体的にも精神的にも追い込んでくれる人が必要」と、長年にわたって個人的に慕ってきた田南部力氏(43=元男子代表コーチ)の指導を認めるよう訴えた。