人間が面白い
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「人間晩年図巻 1990-94年」関川夏央著
目次にずらりと人名が並び、カッコの中に、死因と享年が書いてある。栃錦(脳梗塞/肺炎・64歳)、グレタ・ガルボ(肺炎/腎機能障害・84歳)、江青(縊死・77歳)、山本七平(膵臓がん・69歳)、長谷川町…
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「兵隊になった沢村栄治」山際康之著
プロ野球の最優秀投手に贈られる「沢村賞」にその名を残す伝説の名投手、沢村栄治。1934(昭和9)年、17歳のとき、日米野球の大舞台でベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグらを相手に快投し、その後、巨人軍に…
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「村に火をつけ、白痴になれ」栗原康著
伊藤野枝の人生は、「超」がつくほど密度が濃い。大正時代のアナキストで、ウーマンリブの先駆者。若くしてバツイチになった後、辻潤との間に2人、大杉栄との間に5人の子をもうけている。「国家の害毒」として憲…
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「姉・米原万里」井上ユリ著
米原万里は、ロシア語の通訳、エッセイスト。2006年、がんのため56歳で亡くなったが、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」などの名エッセーや、大胆な発言をするコメンテーターぶりは、多くの人の記憶に残って…
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「火野正平 若くなるには、時間がかかる」火野正平著
酒を飲みながらハイライトをふかす火野正平に問いを投げかけると、飾らず、構えず、冗談を交えながら、独特の人生論が返ってくる。ちょっとしわがれたあの声を間近で聞いているような、親近感漂う聞き書き自叙伝で…
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「漂流怪人・きだみのる」嵐山光三郎著
平凡社の雑誌「太陽」の編集者だった28歳の嵐山光三郎は、作家・きだみのるに連載ルポルタージュの執筆を依頼するため、そのすみかをさがし出し、訪ねた。自由を求めてやまない漂流の作家は、床をおおいつくすゴ…
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「森崎和江」内田聖子著
「からゆきさん」で知られる作家で詩人、森崎和江は、昭和2年、日本の統治下にあった朝鮮で生まれ、17歳まで祖国を知らずに育った。父はリベラルな教師で、朝鮮固有の文化を尊重する人物だった。和江は豊かな生活…
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「ヒラリー」岸本裕紀子著
アメリカ大統領選の最有力候補、ヒラリー・クリントンとはどんな政治家で、どんな女性なのか。「ヒラリーファン」を自任する著者が、アメリカの報道番組、主要新聞、雑誌、ヒラリーの自著などをひもとき、公平、公…
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「革命のジョン・レノン」ジェイムズ・A・ミッチェル著、石崎一樹訳
1970年にビートルズが解散した後、ジョン・レノンとオノ・ヨーコはニューヨークのグリニッジ・ビレッジで暮らし始めた。カウンターカルチャー全盛のニューヨークは、このロックスターを放ってはおかなかった。…
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「朱の記憶 亀倉雄策伝」馬場マコト著
燦然と輝く大きな朱の太陽と、金一色の五輪、その下にTOKYO 1964の力強い文字。亀倉雄策デザインのオリンピックエンブレムは、今も日本人の記憶に深く刻まれている。 なんと、この作品はコンペ…
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「クローザー マリアノ・リベラ自伝」マリア・リベラ/ウェイン・コフィー著、金原瑞人/樋渡正人訳
中米パナマの小さな漁村に生まれたマリアノは子供のころから野球に親しんでいた。でも、道具は木の枝でつくったバット、漁網をきつく丸めたボール、牛乳パックでつくったグラブ。ハンク・アーロンもベーブ・ルース…
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「フェイリング・ファスト」ニコラス・カールソン著、長谷川圭訳
青い目をしたブロンドの女性コンピューター・サイエンティストが、低迷していたヤフーにCEOとして乗り込んできた。彼女はスーパーヒロインか、それとも? マリッサ・メイヤーは1975年、ウィスコン…
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「ゲルダ」イルメ・シャーバー著、高田ゆみ子訳
戦争報道写真として最も有名な「崩れ落ちる兵士」を撮ったのは、ロバート・キャパではなく、彼女だったのかもしれない。女性写真家のパイオニアともいうべきゲルダ・タロー。だが、没後はキャパの恋人としてのみ扱…
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「大村智 2億人を病魔から守った化学者」馬場錬成著
今年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智の伝記だが、発行されたのは4年前。受賞前から業績は高く評価され、敬愛されていた。 世界的化学者への道のりは、少し変わっている。甲府盆地の農家に生ま…
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「イーロン・マスク 未来を創る男」アシュリー・バンス著、斎藤栄一郎訳
人類の生き残りをかけて、この世界を何とかしたい。そのために地球上のエネルギー構造を変えよう。火星にコロニーをつくって人類を送り込もう。 こんなとてつもないことを夢見る男がいる。イーロン・マス…
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「獄中で聴いたイエスタデイ」瀧島祐介著
1980年1月16日、コンサートのため来日したポール・マッカートニーは、マリフアナ不法所持で現行犯逮捕、成田空港から警視庁に送られ、勾留された。ちょうどその時期、バリバリの極道だった著者は殺人罪に問…
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「わたしの土地から大地へ」セバスチャン・サルカド/イザベル・フランク著 中村勉訳
セバスチャン・サルガドはブラジル出身の写真家。発展途上国を旅して、貧困、飢餓、難民、過酷な労働の現場などを撮った作品で知られている。 1944年、豊かな森に囲まれた農園に生まれたサルガドは、…
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「ありがとよ築地 魚河岸と生きた四十年」芝山孝著
毎朝、午前1時に目を覚ます。ご飯とみそ汁の朝食を済ませ、2時には家を出る。 外気の温度を感じながら、生きていることを実感する。今日もまた築地で働くことができる。著者は、築地の仲卸の老舗「芝専…
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「日本で100年、生きてきて」むのたけじ著
「何よりも懸念されるのは、『自民1強』となって、安倍内閣が図に乗ること。戦争というものの実態を知らない若い政治家が威勢のいいことを言って、軍国日本に戻る可能性が高まった。そう思える」 2013…
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「山崎豊子先生の素顔」野上孝子著
52年の長きにわたって、国民的作家・山崎豊子に伴走し、支え続けた秘書が、「先生」との波瀾万丈の日々を回想している。 先生は大阪・船場の老舗昆布問屋のいとはんで、毎日新聞の記者をしながら小説を…