BOOKレビュー
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「ブルーアウト」鈴木光司著
亡父が残した和歌山県串本町のダイビングショップで働く女性ダイバーの水輝は、ある日、トルコ人のギュスカンのガイドを務める。彼は、125年前に串本沖で沈没したトルコの軍艦エルトゥールル号遭難事故の生き残…
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「たんぽぽ団地」重松清著
映画監督の小松は、子役だった40年前に主演したドラマのロケで使ったつぐみ台3丁目団地が年内で取り壊されることを知る。「たんぽぽ団地」のタイトルで放映されたドラマは、団地の1棟が未来からやってきたタイ…
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「マンモスのつくりかた」ベス・シャピロ著、宇丹貴代実訳
クローン作製の現状と展望を解説した科学本。 絶滅種の復活=脱絶滅は、新たな一分野として研究が進んでいる。しかし、絶滅して久しいリョコウバトやマンモスなどのクローン作製は現実的ではないという。…
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「踊り子と将棋指し」坂上琴著
朝、公園で目覚めた「私」の手は、リードで子犬とつながっていた。やがて、前夜に酔ってバーで知り合った聖良の家に転がり込んだと、彼女からの電話で分かる。犬は彼女のペットだった。我慢できずコンビニで買った…
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「女子高生社長、経営を学ぶ」椎木里佳、椎木隆太著
中学3年で起業した現役女子高生の著者が、上場会社社長の父親に経営のイロハと人生について会話形式で学ぶビジネステキスト。 中1のときに、映画や芸能事務所など、やりたいことが多くて、命がいくつあ…
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「呼出秀男の相撲ばなし」山木秀男著
元立呼び出しの著者が、裏方から見た大相撲の世界を案内してくれるエッセー。 1969年、伊勢ケ浜部屋で呼び出し人生をスタートさせた著者は、14年九州場所で白鵬の優勝が決まった一番を最後に定年引…
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「魔女の封印」大沢在昌著
一瞬で男の本性が見抜ける裏コンサルタントの水原に、国家安全保障局に異動した湯浅から依頼が舞い込む。しかし、ターゲットの古美術商の堂上は、自宅も分からず、店にも現れない。堂上が、京都の浄寂院の庵主・浄…
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「深海でサンドイッチ」平井明日菜・上垣喜寛著
有人潜水調査船「しんかい6500」を調査場所まで運び、パイロットや研究者の生活基盤にもなっている支援母船「よこすか」。本書は、乗組員たちの胃袋を満たし、深海探査を陰で支えるその「司厨部」に密着したル…
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「ブラック・ヴィーナス投資の女神」城山真一著
金沢に住む良太は、県の臨時職員として金融関係の相談員として働く。お金に困っている人を助ける仕事がしたいと、メガバンクから転職したのだ。ある日、良太は零細繊維会社の社長を務める兄から相談を持ち掛けられ…
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「幕末維新を動かした8人の外国人」小島英記著
ペリーの砲艦外交による日米和親条約の締結は、反作用として日本人のナショナリズムを覚醒させた。たちまち尊皇攘夷の嵐が吹き荒れ、幕府倒壊、明治近代国家の成立へと至った。本書は、そのペリーをはじめ、日本に…
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「スパム[spam]インターネットのダークサイド」フィン・ブラントン著、生貝直人、成原慧監修、松浦俊輔訳
スパム(迷惑メール)を切り口に、インターネットの影の歴史を描いたノンフィクション。 誰もが世界に向けて容易に情報を発信できるインターネットにおいては、「人々の注目」が希少資源となる。現代の経…
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「狙撃手のオリンピック」遠藤武文著
1979年、ライフル射撃の選手としてオリンピック代表に決まった長野県警の神稲は、ある日、検視官に呼び出される。検視官によると、明科で孤独死した老婆が書いた雑記帳に巡査だった神稲の父親の名前が記されて…
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「フランス人の新しい孤独」マリー=フランス・イリゴエン著、小沢君江訳
フランスの精神科医が現代人の抱える孤独について論じた社会論。 今、多くの人が孤独に苦しみながらも、シングルライフを選ぶ人が増えているのは、苦しみを抱えながらも、同時に静けさと自由を希求してい…
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「大人恋愛塾」柴門ふみ著
周囲の大半の妻は夫のことが嫌いか無関心だが、知人Q氏の妻は、小学生の頃から40年以上、夫を愛し続けてきた。しかし、ある日、Q氏の浮気が発覚したという。以後、妻は夜な夜な枕元で彼女とどんなデートをした…
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「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」蓮池透著
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の元事務局長が、拉致問題に関わる政治家らの裏切りや打算を告発したインサイドストーリー。 その最たる人物は、2002年、官房副長官として小泉首相の電撃…
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「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか?」中島恵著
中国人の心理や考え方まで解き明かしながら、「爆買い」の今後を予測したリポート。 彼らを爆買いに走らせる背景やその行動は、実は30年前の日本人の行動にそっくりだと指摘。ある中国人は、こうした爆…
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「ひとり居の記」川本三郎著
8年前に妻を亡くし、悲しみと寂しさにようやく慣れてきたという著者が、初老の一人暮らしの日常をつづったエッセー。 一人暮らしになって一番寂しいのは猫を飼えないことだという。旅や街歩きで家を空け…
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「気まぐれ古本さんぽ2006→2014」岡崎武志著
古本との出合いを求め全国各地の古書店を巡り歩く紀行エッセー。 名古屋に何度も足を運びながら、タイミングが合わず行ったことがなかった「名古屋古書会館」。カルチャーセンターの講座を受け持つことに…
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「老父の誘拐」小川征也著
田園調布に暮らす75歳の元教師・雄作は、行きつけの喫茶店で知り合った平田に誘われ、彼が住む久里浜のリゾートマンションに遊びに行く。もてなしを受け、翌朝、目覚めた雄作は、平田から実は自分が誘拐されたこ…
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「言い訳だらけの人生」平安寿子著
家電メーカーに勤務する修司は、49歳の誕生日を迎えた。バブル入社組の課長補佐だが、もう昇進や役職に興味も湧かない。 そんなある日、中学時代の友人・和彦から「徳市じいさんが死んだ」と聞く。98…