「深海でサンドイッチ」平井明日菜・上垣喜寛著
有人潜水調査船「しんかい6500」を調査場所まで運び、パイロットや研究者の生活基盤にもなっている支援母船「よこすか」。本書は、乗組員たちの胃袋を満たし、深海探査を陰で支えるその「司厨部」に密着したルポルタージュ。
調査船が深海6500メートルに達するまで2時間30分。狭い船室で一日を過ごす乗員3人の昼食として用意されるのは、司厨部が当日の朝、パンから焼いて作る特製サンドイッチだ。さらに、「しんかい」が潜航する日は作らないというカレーライスや、長崎出身の司厨長が作る絶品ちゃんぽんなど、人気メニューのエピソードから、スタッフの半生、そして海の上ならではの食材保存の知恵など、日本の船上食文化を守るよこすかの「台所」をのぞく。(こぶし書房 1800円+税)