「踊り子と将棋指し」坂上琴著
朝、公園で目覚めた「私」の手は、リードで子犬とつながっていた。やがて、前夜に酔ってバーで知り合った聖良の家に転がり込んだと、彼女からの電話で分かる。犬は彼女のペットだった。我慢できずコンビニで買ったビールをあおるが、気分が悪くなってしまう。胃薬だと思って飲んだポケットの薬は抗酒剤だったようだ。
聖良によると私は彼女の死んだ恋人と同じアルコール依存症のようだ。帰りたくてもどこに帰っていいかわからない。聖良は依存症でインポの私を部屋においてくれる。ストリッパーの聖良に、マネジャーとして同行した私は、大阪で将棋の腕を見込まれ、真剣師と勝負することに。
著者のアルコール依存症体験をもとに描かれた第10回小説現代長編新人賞受賞作。(講談社 1300円+税)