「スパム[spam]インターネットのダークサイド」フィン・ブラントン著、生貝直人、成原慧監修、松浦俊輔訳
スパム(迷惑メール)を切り口に、インターネットの影の歴史を描いたノンフィクション。
誰もが世界に向けて容易に情報を発信できるインターネットにおいては、「人々の注目」が希少資源となる。現代の経済は、その「注目という資源」と、それが生み出す利益をめぐる競争であるという。マスメディアやIT企業が価値あるコンテンツやサービスで注目を集積して利益を得ているのに対し、スパムは「現に集積している人間の注目を搾取する」企てだと定義。最盛期には電子メール型のスパムは、実にメール流通量の90%にも及んだ。
そして今、検索エンジンやSNSをターゲットにスパムは急速に多様化しつつある。インターネットの光と闇の攻防を描いた注目作。(河出書房新社 2400円+税)