天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
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「突然死なら苦しくない」は大間違い
「ピンピンコロリ」という言葉があります。年をとっても元気にピンピンと活動して、最期はコロリと安らかに逝く――。そんな亡くなり方のことです。病気による苦しみや痛みを感じることもなく、周囲に介護の負担をか…
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道具へのこだわりが手術の完成度をアップさせる
先月初め、元祖「神の手」と称される脳神経外科医の福島孝徳先生とお話する機会があり、いろいろとアドバイスをいただいたことを前回お伝えしました。福島先生は74歳になられたいまもより速く、より完成度の高い…
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元祖“神の手”はやっぱり驚異的だった
最近、元祖「神の手」と称される脳神経外科医の福島孝徳先生と、じっくりお話しする機会がありました。今年61歳になった私よりも10歳以上も年上(74歳)で、私がまだ外科医として成長段階だった時代から、脳…
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心臓は早朝と夜間に悲鳴を上げる
心筋梗塞や狭心症の発作は、早朝(午前6~8時)と夜間(午後8~10時)に起こりやすいというデータがあります。 目覚めた直後は、交感神経が活発になります。交感神経が優位になると血管が収縮して血…
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先進的な心臓治療に欠かせない「ハイブリッド手術室」
ここ数年、「ハイブリッド手術室」が飛躍的に進化しています。外科治療=手術と、内科治療=カテーテルを使った血管内治療を同時に行うことができる設備です。 心臓治療の領域では、開胸手術を実施できる…
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不整脈の中で最も危険な致死性不整脈 救命はAEDが有効
心臓疾患による突然死を防ぐ方法について、これまで①急性冠症候群による急性心筋虚血、②大動脈破裂や解離性大動脈瘤を取り上げました。今回は、③致死性不整脈についてお話しします。 不整脈の中で、最…
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二尖弁は高リスク 大動脈の病気は血圧コントロールが重要
日本では心臓疾患による突然死が年間約5万件も発生しています。突然死する危険がある心臓疾患は、主に①急性冠症候群による急性心筋虚血②大動脈破裂・解離性大動脈瘤(大動脈解離)③致死性不整脈で、今回は②大…
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冠動脈疾患はコレステロールと血糖をしっかり管理する
心臓疾患は早期に対処を行えば、元通りの生活を取り戻せる病気です。しかし、病気によっては突然死するリスクが高いものもあります。今回から、病気ごとに心臓突然死を徹底的に防ぐ方法をお伝えしていきます。 …
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ベトナムではかつての日本で見られた疾患が多い
前回、8月中旬に2泊3日のスケジュールでベトナムを訪問し、現地の病院や医療体制を視察してきたお話をしました。 その際、現在のベトナムは、社会基盤も医療環境も30~40年前の日本を見ているかの…
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ベテラン医師でもベトナムの医療発展に貢献できる
8月の中旬にベトナムに足を運び、現地の病院や医療体制を視察してきました。以前、ベトナムの要人の心臓手術を執刀したことがあり、その際に知り合った関係者から、「実際に視察して、ベトナムの医療に対するアド…
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尿酸値は心血管疾患の発症にも関わる
夏は「尿酸値」が上がりやすい季節です。発汗などによって体内が脱水気味になり、血中濃度が上がるためです。冷えたビールがおいしいこともあって、尿酸値を気にされている方も多いのではないでしょうか。 …
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心房細動からくる脳梗塞も…心臓は“脱水”にめっぽう弱い
暑い日が続いています。夏場、心臓で特に注意しなければならないのが「脱水」です。弱っている心臓ほど、体内の水分が不足すると血液を送り出す力が低下します。血液の粘度が上がって流れにくくなるため、心臓=ポ…
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人工心臓の普及はより低価格で高性能なタイプが必要
前回、取り上げた補助人工心臓は、とりわけ米国で発展しています。患者さんの心臓はそのまま残しながら、心臓のそばに人工心臓を埋め込み、落ちてしまった心機能を助けるシステムです。 先進国は世界的に…
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移植ドナー減少で「人工心臓」の需要が高まっている
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っていて、休みなく動き続けています。生命を維持していくためには欠かせない臓器です。そんな心臓の筋肉に異常が生じ、重症の心不全などになってしまった場合、ポンプ…
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万が一に備えて搬送してもらう病院を決めておく
救急搬送された患者さんに対し、時間的な余裕がない中で行われる緊急手術は、外科医やスタッフの経験値が重要になります。 事前に詳細な検査をしたうえで計画的に行われる予定手術と違い、緊急手術は、心…
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難易度がアップする緊急手術でも焦ることはない
時間的な余裕がない中で行う緊急手術は、予定手術よりも患者さんの死亡率が10倍(5~7%)ほどアップすることは、前回お話ししました。術前に精密な検査を行えないことや、救命処置をしながらの手術になること…
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十分な検査ができないことで緊急手術の難易度が上がる
心臓手術は、事前にしっかり検査や診断をしたうえで、計画的に行われる予定手術がほとんどです。突然、病状が急変して救急車で搬送され、時間的な余裕がない中で救命処置を行うような緊急手術は、実はそれほど多く…
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心臓の分野でも医療の「再生産性」を見直すべき
画期的ながん治療薬といわれる「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)が話題になっています。がん細胞が持っている“人間の免疫からの攻撃をかわす働き”を阻害してがんを消滅させる薬で、切除不能の「悪性黒色腫」(…
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「ロス手術」は将来的に再手術が必要になることもある
「ロス手術」と呼ばれる術式があります。主に大動脈弁疾患(大動脈弁狭窄症・大動脈閉鎖不全症)に対して行われる手術で、1960年代に英国の心臓外科医ドナルド・ロスが考案しました。 傷んでいる大動脈…
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大動脈弁狭窄症が急速に増えている…高齢女性に多い疾患
近年、「大動脈弁狭窄症」の患者さんが急速に増えています。心臓の出口にあって、逆流を防止する大動脈弁が動脈硬化などによって硬くなり、極端に開きにくくなる疾患です。血液の流れが悪くなるため、胸痛や息切れ…