がんと向き合い生きていく
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治療ガイドラインはエビデンス=科学的な証拠を基につくられる
「その治療が効くって本当ですか? エビデンスはあるのですか?」 「その治療のエビデンスはないと思います」 こんな会話を耳にすることがあります。 エビデンスがあるのか、ないのか──…
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薬もいくつかつくられたが…キノコはがんに効くのだろうか
雨の日が続いたある朝、狭い庭の畑にキノコの塊を3カ所見つけました。前日まではまったく見ませんでしたから、夜中に急に出てきたのでしょう。結構、たくさんあるのです。畑の中というよりも、歩く道、砂利の中に…
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「はなかみ先生」の思い出 あの頃は鼻汁を垂らした子供がたくさんいた
私がまだ、小学校に入学する前のお話です。 山形にある実家の前は田んぼで、町や駅の方へは少し盛り上がった踏切を越えて行きます。線路の向こうには、魚屋があって、その奥に母の実家がありました。砂利…
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医学生のリポートを読んで思い出す医学部受験での出来事
私は年1回、某大学医学部生に「がん診療における患者の生と死」という題で、講義をする機会をいただいています。 2年前はコロナ禍で中止、その後はWEB講義となりました。講義の1カ月後に、約100…
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食べられる幸せに感謝しなければ…食道がんの知人と話して思ったこと
食道がんで入院されたDさん(63歳・男性)を見舞いに行きたいと思ったのですが、コロナ流行の影響で面会は出来ないと聞き、スマホとパソコンを利用したWEB面会をしました。 Dさんは放射線治療と抗…
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科学は生き方を教えてはくれないが、人生が変わった人をたくさん診てきた
私の父は、母が結核で長期入院していたこともあり、苦労が絶えなかったと思います。父には親しくしていた同級生のHさんがいて、何かにつけ相談にのっていただいていました。 Hさんは高校の教師をしてい…
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恐山と玉川温泉には“救い”を求める人々が集まっていた
先日、NHKの番組でタモリさんが下北半島の恐山を訪れているのを懐かしい気持ちで見ていました。 50年ほど前になりますが、およそ半年間だけ下北半島の大畑町にある病院に月曜日から火曜日午前中まで…
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白血病や悪性リンパ腫に対して1回だけで済む治療法がある
新型コロナの流行が続いてもう3年になります。マスクの着用、手の消毒はやっていても、人流を制限しないで、本当に大丈夫なのだろうか?毎日、夕方のテレビで報じられる感染者数も気になりますが、亡くなる方がた…
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ステージ4の前立腺がんでも抗がん剤が劇的に効くことも
前立腺がんで治療を受けている男性のお話です。 ◇ ◇ ◇ 58歳、自営業です。生来、元気に過ごしてきました。市からくる一般健診は1~2年に1回受けていましたが、この3年ほどは病院…
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緩和病棟を辞めて地方の実家に帰った医師から手紙が届いた
緩和ケア病棟のA医師宛てに友人の医師からこんな手紙が届きました。 ◇ ◇ ◇ A先生、お元気ですか? 突然ご挨拶もせずいなくなってすみません。長い間、仕事をご一緒させていただき…
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「命に比べたら髪の毛なんか」と言われても本人には重大事
がんの治療薬には、「抗がん剤」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬(ICI)」などがあり、いろいろながん種に使われています。その作用をごく簡単に説明すると、抗がん剤は「がん細胞のDNAをやっつ…
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「霊水」ががんに効くとは思えないが…担当医に相談してほしい
もう50年も前になりますが、ハイキングで北海道の恵山に行ったことがあります。暑い中、長い道を歩いて行くと、岩間からきれいな清水が流れていました。飲めると聞いて、口にした時の冷たさ、おいしさに、思わず…
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小腸はがんが少ない 腸捻転で手術した友人からのメールで浮かんだこと
先日、昔からの友人であるYさんからメールが届きました。これまでは年に1回くらい一緒に食事会をしていたのですが、コロナ流行があってここ2年以上は会っていません。電話では、よく長い時間話されるのですが、…
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いまも思い出す父のありがたい親心 勝新太郎さんの父親も…
私が大学生だった頃の夏休みに、国鉄の職員だった父に頼んで、線路工事の手伝いをさせてもらったことがありました。 昼の暑い日差しの下、線路工手の方が線路に敷いた枕木を相手につるはしを振り下ろす姿…
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ホコリがつく千羽鶴は白血病患者の病室には持ち込めないと言われ…
ある日の夕方、女子高生のS子さん(16歳)は、コーラス部での活動を終えてから同級生のAさんと一緒に帰路につきました。 その途中、Aさんが急にしゃがみ込んで、めまいを訴えました。S子さんはスマ…
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転移がんが見つかってもどこからきたか分からない原発不明がん
Cさん(66歳・女性)は、某社の事務職員として長く勤務され、退職後の今はスーパーで週3日、経理の仕事をしています。健診は毎年受けていました。 ある日、右腋窩に腫瘤を触れ、心配して来院されまし…
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同じがん、同じステージなのに…なぜ自分だけが再発したのか
Rさん(46歳・男性)は、農業に従事されていてお米を作っています。 体の症状はとくになかったのですが、胃の検診で要精査と言われ、病院で検査を受けたところ胃の出口付近にがんが見つかりました。が…
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人工透析患者ががんになっても抗がん剤治療は不可能ではない
がんの発生の多くは遺伝子異常が突然起こってしまうことによります。がんの罹患数が増加している原因のひとつは、老化、つまり高齢社会にあるようです。高齢者は、免疫能が落ちる=がんが発生することに対するチェ…
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「子は宝」 小児がんは早期診断・早期治療がとても大切
街を歩くと、抱っこ紐で赤ちゃんを胸に抱いた母親を見かけます。いつの頃からか背中におんぶした姿はまったく見かけなくなりました。 小さな子と手をつないで歩く母親にも出会います。ひとりを抱っこして…
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「毎日、体のどこかが痛い」と訴えるひとり暮らしの患者の心境
悪性リンパ腫が完全寛解してから4年がたつYさん(75歳・女性)はひとり暮らしです。 先日、定期検診で来院されたとき、こんなお話をしました。 「先生、畑に出ると疲れ方が60代の頃とは違う…