著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

「毎日、体のどこかが痛い」と訴えるひとり暮らしの患者の心境

公開日: 更新日:

 悪性リンパ腫が完全寛解してから4年がたつYさん(75歳・女性)はひとり暮らしです。

 先日、定期検診で来院されたとき、こんなお話をしました。

「先生、畑に出ると疲れ方が60代の頃とは違うね。70過ぎてから、まったく違う。病気だったからかな。腰が痛いのも治らないし、足の親指が痛いし、背中が痛い、歯が痛い……なんだか耳も塞がってる。喉も痛いけど、熱はないからコロナじゃないと思うけど。毎日毎日、体のどこかが痛いのよ。まさか、リンパ腫が再発したんじゃないだろうね。アハハハ……。私はいつ死んでもいいと思っているんだけど、苦しむのだけは嫌だよ、先生」

 私はこう答えました。

「歯は歯科か口腔外科で診てもらわないとね。足の親指は診たところ何もないよ、動きもいいし……。先日のCT検査では背中や腰のところにリンパ腫の影はなかったし、問題なかったよ。整形外科に診てもらうかね?」

 以下、こんなやりとりが続きました。

「アハハハ、ならいいよ。もう少し様子を見るよ。でも、畑はいいよ~。昨日は土しか見えてなかったのに、今朝はアスパラがすくっと5本、生えていた。夜中に出たのかね? 毎年、同じことだけど、見てると不思議だね。それはそれはおいしいんだから……おいしいよ。まあ、雑草だって刈っても刈っても生えてくる。そうだよ、植物はすごいね。腰が痛くても、畑からは目が離せない。この間、息子が来て、お寺に連れてってくれたんだ。そこは“がんよけ寺”なんだって。私はリンパ腫になってしまったから、もう遅いけど。アハハハ」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ