「霊水」ががんに効くとは思えないが…担当医に相談してほしい
もう50年も前になりますが、ハイキングで北海道の恵山に行ったことがあります。暑い中、長い道を歩いて行くと、岩間からきれいな清水が流れていました。飲めると聞いて、口にした時の冷たさ、おいしさに、思わず「生きた!」と叫んで、水筒の中の水を捨てて、清水をくんだことを思い出します。津軽の岩木山に登った時もそうでした。頂上近くなった道脇の真清水は、冷たく、おいしく、命が救われるような思いでした。
この夏は青森のねぶた祭が開催されました。ねぶたの周りで踊る跳人は「ががしこ」というブリキで作った器を腰に着けています。水やお酒を飲む、コップの役目をします。長く跳ねて、渇いた喉、そしてこのががしこで飲んだ水がおいしかったことも忘れません。
「水」というと、思い出すのがKさん(50歳・女性)です。乳がん手術の後、骨転移に対する放射線治療のために通院されていました。
ある日の外来で、Kさんが手にしていたペットボトルには「○○霊水」と書かれていました。
Kさんは、「この霊水、がんに効くんです。何のがんにも効くんです。がんのお友達が医師から、あと3カ月の命と言われてから、この○○霊水を飲み始めて2年になりますが、元気なんです」と言ってニッコリされました。