映画「アメリカン・スナイパー」主要部門受賞ナシを誇るべき

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 クリント・イーストウッド監督の「アメリカン・スナイパー」が大ヒットしている。2月21日から公開され、土日2日間で興収3億3000万円を記録。これは邦画と洋画を合わせた今年最高のオープニングだ。最終的に20億円を超える可能性もある。

 2003年に始まったイラク戦争に参戦した米国人狙撃手の話である。幼い頃から米国風のタフな生き方で育てられた主人公は率先してネービーシールズ(海軍特殊部隊)に入る。戦場でも狙撃手という“安全地帯”にとどまることがいたたまれず、危険な地上戦に参加してしまうほど愛国心が強い男だ。

 しかし、200人近くを銃撃で倒し、幾度となく戦場に出かけるうちに精神を病んでいく。米国に帰り、子どもたちと不安定な精神状態で拳銃遊びに興じるシーンは、悲惨極まる戦場以上に戦争の恐ろしさが描かれ、体が震えてしまった。

 日本での大ヒットの背景には、単純な愛国心や戦闘シーンの迫力を超えて、戦争のおぞましさや恐ろしさが念入りに描かれているのが大きい。人質が殺害された「イスラム国」の問題も関心の度合いを高めた。今回の事件で日本人が切実に戦争を自身の問題として考えたから当然だが。

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