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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

医療の中でのギャップ…「診療所」と「病院」のコロナ重症者の確率の違い

公開日: 更新日:

 ここまでは論文と個別のギャップについて取り上げてきたが、今回は「現場の違い」によるギャップについて検討したい。

 「マスク着用を継続すべきだ」という意見は病院医師から発せられることが多く、「マスクはやめるべきだ」という意見は病床を持たない診療所医師から発せられることが多いように思われる。実際にそうした研究があるわけではないので私の印象に過ぎないが、その印象に基づいて、病院と診療所というセッティングの違いによって、医学研究と現場のギャップにも大きな違いがあることを示したい。

 コロナがすでに重症化した患者は、診療所を経ることなく病院に運ばれることが多い。軽症者は病院から診療所へ逆紹介される場合もあるし、重症者の治療が優先されるため、軽症者はすぐには診てもらえないという現実もある。それに対して、軽症者はまず診療所を訪れることが多いだろう。つまり、病院医師は重症者ばかりを見ているし、診療所医師は軽症者ばかり見ている、という現場のギャップが生じる。当然、診療所での重症患者の確率は低く、病院での確率は高い。

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