著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

豊田章男会長も欲しくなる?「小さな高級車」新型レクサス LBX…まずは会長試験をパス!

公開日: 更新日:

レクサス LBX(車両価格:¥4,600,000/税込み~)

「普段ビジネススタイルで過ごしている豊田会長が、ふとスーツを脱いでTシャツとスニーカーになる。『そういう時に気負いなく乗れるクルマが欲しいんだよな』って一言が(LBXを作る)きっかけなんです」(チーフエンジニア遠藤邦彦さん)

 話題の小さな高級車、レクサス LBXの国内試乗会が行われた。LBXは「レクサスブレイクスルークロスオーバー」の略。車名の「破壊的突破」の意味合いに作り手の気合が伺える。事実、ここ何十年と「小さな高級車」で成功したブランドはない。高級と言ってもいいが小型スポーティプレミアムとしては唯一、2000年代にBMWミニが成功したくらい。

 かつてトヨタが作った小さな高級車プログレやオリジンも一世代で消え去った。初代クラウンをモチーフにしたオリジンなどは元々限定だが、約1000台しか作られなかった。

 しかし、そこにも学びはある。かつての高級車は文字通り「高級車を小さくしたもの」。プログレもオリジンも基本は当時のクラウンやセルシオの小型版。ボディーはほぼ5ナンバーサイズ(オリジンはちとデカ目)で贅沢な直列6気筒エンジンを搭載し、内装はセルシオ品質で、先進安全もガンガンに盛り込まれていた。

 だがそれではダメで、高級化するとはいえ、小型車には小型車なりの価値を持たせないといけない。そこで生まれたのがLBXであり、まさしく冒頭のプレミアムスニーカーをイメージしている。

ベースはヤリスクロスだがサイズは全然違う

 実車を見てまず驚くのは、かつてないグラマラス感。一応ベースはコンパクトSUVのヤリスクロスだが、サイズが全然違う。

 4190mmの全長はほぼ同じだが、1825mmの全幅は約6cm長いし、1545mmの全高も5cm弱低い。なにより前後フェンダー感のマッチョさは欧米プレミアム以上で、それでいて日本の立体駐車場にも入るコンパクトさ。インパクトと扱いやすさのバランスが他のプレミアムと違う。

 乗ってみた時の走り味も凄い。骨格はサスペンションのジオメトリーやシート座面高まで煮詰められ、タイヤ取り付け部にはアルミ製ナックルを初採用。乗り心地に効くホイールベースもヤリスクロスより2cm延長。

 パワートレインは一見ヤリスクロスと同じ1.5ℓハイブリッドだが、ハイブリッドシステムが新しくなり、電池も大電流対応のバイポーラ型ニッケル水素になり、システム出力は136psに拡大。

 発進加速は電動感が増しており、しばらくEV走行が続き、ヤリスクロスで感じた直3エンジンの安っぽいバイブレーションやノイズがほぼ取り去られている。ライバルは静かなバッテリーEVか? と言いたくなるほどだ。

 乗り心地もヤリスクロスにあったゴツゴツ感が取り去られ、まさしく小さな高級車。

 とはいえ、意外なのは、予想していたフカフカな乗り心地やゆったりハンドリングではないこと。思った以上にキビキビ感があって、コンパクトカーならではの運動性も追い求めている。この当たりが「プレミアムスニーカー」にも相通ずるところで、高級革靴とは違うカジュアルさな楽しさだ。

今までにない上質感と気楽さが共存

 インテリアも今回乗った「アドバンス」や「クール」グレードは大画面の12.3デジタルメーターやディスプレイはもちろん、本革シートや本革+スウェードのコンビシートが奢られ、確かに高級車然。

 一方それでいて色合いはカジュアル。車両価格は現状460万円スタートと安くはないが、今までにない上質感と気楽さが共存している。ここがLBXの真骨頂なのだろう。

 小さな高級車の本当の難しさは、“大は小を兼ねる”でも“小は大を兼ねない”ところ。単純に高級車の小型版とは違う、小さいなりの良さを追求しなくてはいけない。

 その評価は発売後のマーケットを見るしかないが、前述チーフエンジニアによると「(豊田会長に乗って頂き)具体的にどうだとは言われないんですけどもメチャクチャいい笑顔を頂きました(笑)」

 まずは会長のプレミアムスニーカーとしては合格点。あとはリッチなみなさんのおクチに合うかどうか、といったところか。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    ふざけるな、石破政権もサラリーマン増税かよ!潰れたはずの「退職金課税」政府税調で再浮上

  2. 2

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  3. 3

    玉木雄一郎氏に「包囲網」…“グラドル不倫”騒動収まらず、自民・立憲・財務省で思惑一致

  4. 4

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  5. 5

    ダイエー、イトーヨーカ堂…日本の小売りを支えた都市型総合スーパーが衰退した理由

  1. 6

    裏金自民「企業・団体献金の禁止」そっちのけで「個人献金の税制優遇」だあ?カネ集めのためなら“斬新策”次々

  2. 7

    斎藤元彦知事「百条委」の欠席理由「全国知事会」はそんなに重要? 自身の過去出席率は4割弱

  3. 8

    自民裏金議員12人が“ドサクサ復権”の仰天! 党役職抜擢の全員が政倫審での弁明は拒否した面々

  4. 9

    物議醸す石破首相の「座ったまま握手」は外務省の大失態! 外交デビューにミソ、元国際情報局長バッサリ

  5. 10

    1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動