侍J最年長ダルがWBCへ「何でもやります」と前のめり…士気高揚以上に怖い大会後の反動

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 そんなダルの意をくんだ栗山監督もまた、ダルに負けず劣らず今大会に前のめりだ。

 目標は「世界一。それだけ」。選手選びの基準は「侍としての魂をもっているかどうか」。日本人メジャーリーガーを自ら米国まで追いかけて口説き、制約があるであろう大谷をフル回転させるつもりとか。原則、毎試合DH、なおかつ先発でも起用するプランをもっているという。つまりエンゼルスすら登板日前後は休ませるケースが多いリアル二刀流での起用を、当然のように考えていることになる。

■一将功成りて万骨枯る

 侍ジャパンの指揮を執る栗山監督と、チーム最年長のベテランが、これだけ熱くなっているのだから、いやが上にもチームの士気は上がる。

 目標の「世界一」へ視界良好とはいえ、監督が熱い人で、チーム最年長でもあるベテランエースは所属球団の意向もお構いなし、先発も抑えも何でもやると意欲を燃やしている。そんなイケイケムードはしかし、反動が怖い。

 監督とエースが意欲を燃やせば燃やすほど、他の選手はフルスロットルにならざるを得ない。メンバーに選ばれた選手たちはもちろん全力投球するつもりだろうが、少々の張りや痛みくらいじゃ、投げられない、プレーできないと言い出しづらい状況になるのは想像に難くない。

 2021年12月に侍ジャパンの指揮官に就任した栗山監督の任期は1年半。実質的に今回のWBCが終わればお役御免で、日本ハムの肩書である「プロフェッサー」に戻る。つまり今回のWBCに限って結果を出すことが求められている立場だ。

 ダルにしても今年は6年契約の最終年。すでに翻意しているものの、一度は今季限りで引退すると公言したくらい。極端な言い方をすれば、後先を考えずにエンジンを吹かせる年齢の選手だ。

 栗山監督とダルがチームを牽引、仮に09年以来3度目の世界一を達成したとしても、「一将功成りて万骨枯る」じゃないが、大会直後にボロボロになる選手が続出してもおかしくない。

 実際、連覇を達成した09年の第2回大会後はエースと中心打者だった日本人メジャーリーガー2人が後遺症に悩まされた。

 2大会連続のMVPを獲得したレッドソックスの松坂大輔は、開幕後2試合連続でKОされ、4月15日に右肩の疲労で故障者リスト入り。6月にも再び故障者リスト入りして、この年は4勝(6敗)に終わった。松坂はそれ以降、復帰した日本球界も含めて2ケタ勝ったことがないまま引退した。

 打の主役だったマリナーズのイチローは、決勝の韓国戦で試合を決める2点適時打を放って連覇に貢献したとはいえ、大会序盤からスランプが続いて心身とも疲労困憊。マリナーズに合流後、胃潰瘍で出血し、松坂同様、故障者リストに入った。

 日の丸を背負って戦うWBCは、ただでさえ選手には大きなプレッシャーがかかる。にもかかわらず、監督とナインを引っ張る立ち位置の最年長メジャーリーガーが、大会前から“オーバーヒート”気味。侍ジャパンにかかる期待がとてつもなく大きい分、反動も大きくならないか心配だ。

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